オリンピックへの道BACK NUMBER
高橋大輔と浅田真央、「特別な時間」。
初共演で再認識した2人の“大きさ”。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2015/01/03 10:50
リハーサルから仲のよさそうなところを見せ、息のあった演技を見せた高橋大輔と浅田真央。日本フィギュアを牽引してきた2人の存在感は別格だった。
2人にとって、長年過ごしてきたのとは異なる年末。
そして2人はこの1年を振り返る。
「2014年は僕にとってはいいこともあったんですけど、しんどかったこともありました。その中でもいろいろなことが経験できて、自分にとっては勉強になった1年だと思います」(高橋)
「2014年はオリンピックもありましたし、考える暇もなく1日1日をスケートに捧げてきたのが前半でした。シーズンが終わってから自分で考える時間ができて、いつもとはちょっと違う生活になり、こうしてまた滑るという形で締めくくらせてもらった2014年です」(浅田)
2人にとって、長年過ごしてきたのとは異なる形での年末でもあった。
高橋は言う。
「全日本で10年以上ですかね、クリスマスどころではなかったというところがありました。今回、イベントという形で皆さんと一緒に楽しむことができるのは、頑張ってきたからかなと思います。試合をしていない自分に対してぜんぜん違和感はなくて、正直それには自分でもびっくりしています。ひとつ次に、ほんとうに行ったのかなって今は感じています」
一方の浅田。
「全日本は小学6年生から出てきたんですけど、そこからほんとに長い間、毎年試合があってのクリスマスという感じでした。スケートとともに成長してきたのでスケートとともにクリスマスを過ごせるのはうれしいことです。スペシャルなショーをできる、滑らせてもらえるのはすごくうれしいです」
2人の言葉に、あらためて、高橋と浅田がどれほど長きにわたり、日本のフィギュアスケートを牽引してきたかを思う。
進退を考えれば考えるほど、気持ちが分かれていく。
浅田はソチ五輪のあと、進退を尋ねられれば、「ハーフハーフ」と答えてきた。そしてその言葉の意味合いにも変化があることを、語ってきた。考えれば考えるだけ、半分と半分とに気持ちが分かれていく胸中がある。
待望論は根強い。方々に、競技生活への復帰を求める声がある。それらの声にあるそれぞれの理由はどうあれ、浮き彫りになるのは浅田の存在の大きさだ。
だがもし続けるとなれば、どこまでか。次のオリンピックまで頑張るとなれば3年あまり。「1日1日をスケートに捧げてきた」、そんな日々を再び送っていくには、容易には想像しがたいエネルギーを要するだろう。