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言葉で読み解く羽生結弦の「本質」。
理想を追う様は、まさに形而上学?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2014/12/24 10:40
演技はもちろんだが、発言にも圧倒的な個性が光る羽生結弦。これからも、どんな言葉が彼の口からつむがれるのだろうか。
「平昌に向けて何かをするというわけではない」
今月26日には全日本選手権(長野)が始まる。3連覇を狙う立場ではあるが、それ以前に彼はここでも「目の前の大会で全力を出し尽くす」ことに集中していくのだろう。
平昌五輪に向けて必要なことは何かと訊かれたときの羽生は、素っ気ないくらいだった。
「特にない。自分はスケートが大好きで、ジャンプが大好きなので、好きだからやってみようというのはあるかもしれないが、平昌に向けて何かをするというわけではない。ただ、自分のスケートをもっともっと高みに持っていきたいという思いはある」
「自分はどん欲に勝ちにこだわるタイプ」という言い方もする羽生だが、「どの大会で優勝する」「何点を出す」という具体的な結果を第一義としていくつもりはない。「五輪のため」でもない。形に表されない高遠な理想をフィギュアスケートに落とし込んで実現させていくのが、羽生スタイルだ。
彼が発した数々のコメントから浮かび上がってくるのは、形而上学的な思考を大事にしているということ。新次元の有言実行アスリートがここにいる。