ブックソムリエ ~新刊ワンショット時評~BACK NUMBER
馬場を大きくしたアメリカ。
~『1964年のジャイアント馬場』~
text by
幅允孝Yoshitaka Haba
photograph byWataru Sato
posted2014/12/17 10:10
『1964年のジャイアント馬場』柳澤健著 双葉社 1900円+税
馬場正平の身長が、急に伸び始めたのは小5の春だったという。中学校の入学式ではすでに180cmを超えていたというから、正に「ジャイアント」な馬場少年だった。
原因は、脳下垂体にできた良性腫瘍による成長ホルモンの異常分泌。それは、馬場が読売巨人軍に投手として入団した後の20歳の頃に発覚した。開頭手術は奇跡的に成功するものの、復帰したプロ野球ではチャンスを与えられず失意のまま引退。ルーキーの長嶋茂雄が二冠王を獲得した2年後の1960年のことだった。
本書はジャイアント馬場というレスラーの来歴を丹念に追う600ページ弱の大著。束のボリュームは巨大だが、不思議にどんどんと読み進んでしまう。