フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
17歳、15歳、23歳――の表彰台。
GPファイナル女子に見る人間模様。
posted2014/12/16 08:30
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
「実を言えば、体調はよくなかった。ここでクリーンに滑りきったことには驚いています」
フリー後の会見でそう語ったのは、優勝して初のGPファイナルタイトルを手にしたエリザベータ・トゥクタミシェワだった。ロシアの女子の優勝は予想されていたものの、どちらかというと15歳のエレナ・ラジオノワ、16歳のユリア・リプニツカヤらが有力候補視されていた。
だがベテランらしい落ち着いた演技でSP、フリーともにトップを独走して優勝したのはトゥクタミシェワだった。
苦労を乗り越えてきた17歳の王者。
ベテランと言っても、まだ17歳である。高校2年の年齢にして、すでに酸いも甘いもかみ分けた大人のように落ち着いている。それは彼女が14歳からシニア国際競技に出てきながら成長期で調整に苦労した時期もあり、怪我でソチ五輪出場を逃すなど、多くの思いを乗り越えてきたからに違いない。
「スケートをやめようと思ったことは、何度もある。でもフィギュアスケートのない人生なんて、私には考えられないと思ったんです」
そう口にしたトゥクタミシェワ。SP後の会見では、2位で隣に座ったリプニツカヤが携帯電話をひっきりなしにいじったり、机に肘をついたりなど退屈している子供の態度そのものだったのに対し、トゥクタミシェワは毅然と背筋を伸ばし、チャンピオンらしく前を向いて座っていた。
「私はもう若くない」と言った15歳のラジオノワ。
総合2位だったラジオノワは、スケートアメリカ、フランス杯と連覇してきたが、ここではSPでジャンプミスが出た。ソチ五輪は年齢制限のために出場できなかったが、ここ1年ほどで身長も伸びて少女からティーネイジャーの体型へと美しく成長してきている。
「でもジャンプに影響はありません。私はもうすぐ16歳なので決して若くはありません。もっと若い子たちが、3+3のコンビネーションを跳んでいます。だから私が特に特別なわけではありません」
そうコメントすると、同じ壇上に座っていた23歳のアシュリー・ワグナーは苦笑した。