フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
男子金銀、女子銅の日本フィギュア勢。
Jr.GPファイナルで魅せた若手選手達。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2014/12/16 11:20
ジュニアGPファイナルでの男子表彰台。左から銀メダルの山本草太、金メダルの宇野昌磨、銅メダルのアレクサンドル・ペトロフ(ロシア)。
シニアに迫る演技を見せたジュニア女子。
ここで宇野が成功させたジャンプ構成は、シニアでも十分に通用するものである。とは言え、男子は体力的にジュニアとシニアでやはりその滑りにかなりの差が感じられる。だがジュニア女子たちは、今シーズンのシニア女子に負けないほどの素晴らしい演技を見せてくれた。
優勝した15歳のエフゲニア・メドベージェワ(ロシア)は、SPでシニア、ジュニアすべて含めた中で2番目に高い点をマークした。67.09は、シニアでSP1位だったエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)の67.52よりもわずか0.43低いだけである。
「点はジャッジが出すことだから、なんと言ったらいいのかわかりません。私はただ、いかにミスのない演技を見せるかだけ考えています」
会見で得点の高さについて聞かれると、メドべージェワはそう答えた。昨年に続いて2位になったセラフィマ・サハノヴィッチ(ロシア)も、まだ14歳だがジャンプのきれ味などが鋭くシニアでも十分に戦っていけそうだ。
13歳の初メダル、樋口新葉。
だがジュニア女子でもっとも印象に残ったのは、まだ13歳の樋口新葉(ひぐちわかば)である。SPではフリップのエッジで減点を受けて5位スタートだったが、フリーではスピードのある素晴らしい演技をほとんどミスなく滑りきって総合3位に上がった。
「あなたの滑りはすごくスピードとパワーがあり、ジャンプも素晴らしい。どのようにして身につけてきたのか」
会見でベテランのカナダの記者にそう聞かれると、樋口はこう答えた。
「小さい頃からスケーティングは意識して練習してきたので、スピードはそのためだと思います。でもジャンプは最近跳べるようになったものも多い。練習の成果です」
うねるような流れのあるスケーティングとリンクの使い方の大きさは、シニア女子たちに比べても少しも見劣りがしない。
「SPでは失敗しないことだけを考えた。フリーでは楽しもうと思っていたので、伸び伸びと滑ることができました」とコメントし、まだ中学生とは思えない、舞台度胸の良さを見せた。