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山形は、一発勝負がやけに似合う。
完成度+アクセントでJ1昇格に挑む。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2014/12/04 10:40
浦和から移籍して半年、腕にはキャプテンマークが巻かれ、チームにとって決して欠くことのできない中心選手となったGKの山岸範宏。悲願のJ1復帰なるか。
「僕はとにかく“ちょっかい”を出し続けたい」
ハイプレスを仕掛ける山形にとって重要なのは、「もしハイプレスをかわされたら」というリスク管理を徹底することだ。宮阪の仕事は、この瞬間に発揮される。
「ジェフで(小林と)同じポジションを務めているのは、町田也真人選手ですよね。タイプが違うのでやり方も変わりますけど、僕はとにかく、“ちょっかい”を出し続けたい。それをきっかけにしてチームがボールを奪うことができれば、ウチのリズムが作れると思うので。
そこをサボったら、僕なんて試合に出られないですよ。自分のやることで少しでも味方が楽に仕事できたら嬉しいと思ってやっているので、僕は目立たなくていいんです。FKだけは狙っていますけど、試合に勝てればそれでいいです」
“対千葉”のポイントとして、宮阪は「佐藤健太郎さんのクサビのパス」と「谷澤(達也)さんのキープ力」を挙げた。さらに茶目っ気たっぷりの笑顔を見せつつ、明治大時代のチームメートであるGK高木駿から「ゴールを奪いたい」と口にした。
“剛”のチームで異彩を放つ“柔”の川西翔太。
宮阪を筆頭に職人気質の黒子が大半を占めるチームにおいて、一人だけ異質な存在感を放つ選手がいる。ポジションは2列目の右。ガンバ大阪から期限付き移籍の身にある金髪のテクニシャン、川西翔太だ。
90分を通じて前線からボールを追い続ける山形のサッカーは、最後まで走り抜く、球際で一歩も引かない、絶対に集中力を切らさないという「剛」のスタイルである。
しかし川西個人に焦点を当てると、しなやかなボールタッチと相手との駆け引きにおける“間”の使い方、さらに決定機を呼びこむ柔らかいスルーパスなど、そのスタイルは「柔」。そんなプレースタイルを表すように、どこかふわりとしたキャラクターは宮阪とは対極にある。
「独特の緊張感はありましたけど、僕自身はあまり人の声が入ってこないほうなので問題ありませんでした。いつもそんな感じなので、プレッシャーはあまり気になりません。ホームでもアウェーでもそう。自分がいいプレーをすれば自分のことを応援してくれる人が増えるかもしれないし、やっぱり、誰が見ても『うまい』と思われる選手になりたいですよね」