オリンピックへの道BACK NUMBER
村主章枝の、見事なフィギュア人生。
振付師として心に届くプログラムを。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2014/11/24 10:50
日本の女子フィギュアに、今日の隆盛をもたらしたのは、村主章枝だった。その競技人生に、拍手を送りたい。
何よりも、観る人の心に届くプログラムを。
フィギュアスケートでは、滑っている間にミスが起こることはよくある。それでも気持ちを切らないで、投げやりになることもなく、次へ、次へ、と向かっていかなければならない。何があろうと、最後まで演じきらなければならない。その能力こそ、選手に求められる厳しい要素なのである。楽な競技生活ではない中、継続してきたその努力の跡を振り返ると、ふとそんなことが思い浮かぶ。
そして、かつてのこんな言葉もまた浮かぶ。
「スケートを愛していますから」
28年にわたり氷の上で過ごしてきた村主は、現役を引退することになった今シーズン、ソルトレイクシティ五輪シーズンに使用した「月光」を再び使用していた。
今後は振付師を目指し、ローリー・ニコルに師事すると言う。
これからは立場を変えて、フィギュアスケートに取り組んでいくことになる。振付師として、再び世界の舞台で活躍する日を。何よりも、観る人の心に届くプログラムを。
きっと、そう考えているはずだ。