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エリザベス女王杯も重賞未勝利馬V。
秋のGI馬5頭の、意外な共通点とは?
posted2014/11/17 11:15
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
「異常事態」というほど困ったことではないが、ともかく、非常に珍しいトレンドであることは確かだ。
なんと、この秋のGIを、5戦連続で重賞未勝利の馬が制する結果となってしまったのである。
11月16日の第39回エリザベス女王杯(3歳以上牝馬、京都芝外回り2200m、GI)を勝ったのは、ラキシス(4歳、父ディープインパクト、栗東・角居勝彦厩舎)だった。GI馬6頭を向こうに回しての、鮮やかな差し切り勝ちだった。
確かに昨年の2着馬だし、休み明けの前走は牡馬相手のオールカマーで僅差の2着になっている実力馬ではある。ディープインパクト産駒で母の父ストームキャットというキズナと同じ配合、「GI馬生産工場」とも言えるノーザンファームの生産馬を、「世界のスミイ」が管理しているのだから、勝っても不思議ではない、と見られていた。いわゆるサプライズでなかったことは、重賞未勝利であるにもかかわらず、単勝6.8倍の3番人気に支持されたことが示している。
なぜ、こんな現象が起きているのか?
それでも、なんだか驚かされたように感じるのはなぜだろう。
1番人気のヌーヴォレコルトが負けたからか。いや、勝ちにいく競馬をして首差の2着だったのだから、同じ2着に惜敗した秋華賞同様「負けて強し」だった。その意味では順当な結果だったと言えよう。
やはり、スプリンターズステークス、秋華賞、菊花賞、天皇賞・秋、そしてこのエリザベス女王杯と、この秋に行なわれた「すべて」のGIを重賞未勝利馬が「つづけて」勝ったからだろう。
なぜ、こんな現象が起きたのか。体質が弱かったりして能力を出し切れなかった馬が力を出せる状態になった、ということが一番なのだろうが、それだけで、5戦もこんなことがつづくだろうか。