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エリザベス女王杯も重賞未勝利馬V。
秋のGI馬5頭の、意外な共通点とは?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/11/17 11:15
騎乗の川田将雅はラキシスについて「重賞にも手が届かず、苦しい1年を過ごしてきた。一番大事なところで勝ってくれたことを褒めてあげたい」とコメントした。
エリザベス女王杯、ラキシスの勝因は?
さて、エリザベス女王杯のレース回顧を、少し加えておきたい。
どうしてもハナに行きたいという馬がいなかったため、逃げてヴィクトリアマイルを勝ち、宝塚記念3着と好走したヴィルシーナが押し出されるように先手をとる、ゆるやかな流れになると思われていた。
ところが実際は、サンシャインが出鞭を入れてハナを奪い、1000m通過60秒3という淀みのない流れになった。
ヨーイドンの瞬発力勝負ではなく、底力が問われる厳しい展開になったことが、歴戦の古馬に有利に働いた。
また、好位のポジションをとりに行き、自分から動いて押し切る「横綱相撲」の競馬をしようとしたヌーヴォを、ラキシスが直後でマークする形になったことも大きかった。マークする側とされる側とでは、「する側」が圧倒的に有利である。
ラキシスがラスト200m地点で馬の間を割り、先に抜け出したヌーヴォに並びかけようとしたとき、ラキシスの川田は鞭を右に持ち替えて叩き、ヌーヴォに馬体を併せにいかないようにした。
びっしり併せて叩き合う形になると、ヌーヴォが勝負根性を絞り出してもうひと伸びするかもしれないし、また、斤量が2kg軽い54kgというアドバンテージを生かされてしまうかもしれない。それを避けたファインプレーだった。
マイルCSにも、ジャパンカップにも、重賞未勝利馬の名が……。
今週のマイルチャンピオンシップと、来週のジャパンカップでも「重賞未勝利馬の戴冠」という流れはつづくのか。不気味なことに、登録の段階ではどちらにも重賞未勝利馬の名がある。
こういう記録は当然いつかは途切れるものだが、ここまで来ると、怖いもの見たさではないが、次も……と期待してしまう。
何が起こるかわからないのが競馬というスポーツの面白さだ。6戦連続重賞未勝利馬の激走となるのか。11月23日のマイルチャンピオンシップの楽しみが増えた。