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「30歳まではサッカーが嫌いだった」
元日本代表・加地亮、新天地での今。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byYoshitaka Kikuchi
posted2014/11/13 10:40
今季、MLSチーバスUSAでプレーした加地亮選手。経営難などを理由に、チームは解散となり、現在、加地選手の去就は未定となっている。
「運動量はJリーグの時より増えている」
その中で自分をアピールし、かつ右SBとしての仕事もきちんと遂行しなければならなかった。
「自分のスタンスはあまり変わらない。僕の場合だと、オーバーラップして帰ってくるという中で、どういう仕事をするかが大切になってくる。上がっていくスピードが大切だし、そのスピードで上がりながらも、ちゃんと帰ってくるというのを見せるだけでも、相手にとって脅威になってくるじゃないですか。それをできる限り多く見せられる選手になりたい。空いた穴は自分で埋める、というぐらいの気持ちでやってます。運動量はJリーグの時より増えているような気がします」
試合だけではなく、練習面でも自分なりの工夫が必要とされた。
「あまり練習をしないので、チーム練習が終わった後に今まで以上に自分で追い込んでやるようにしていました。最初から、みんなと一緒にやるんじゃなくて自分ひとりで。ルーティーンを作ってしまえば勝ちだと思って、最初からそのスタンスでやってきたので、周りも認めてくれた感じですね。もちろんしっかり試合で結果を出さなければ色々言われていたと思いますけど」
「年齢を忘れるというか、若返っているような」
新たなリーグへの適応を要求される日々だったが、加地の気持ちは充実感に満ちあふれていた。
「自分に更に磨きをかけないとこのリーグではやっていけないから、改めて『自分をもっと高められる』という意識になれました。年齢を忘れるというか、なんとなく若返っているような、がむしゃらな原点に帰っている感じがします。
日本では絶対にできない経験ですし、サッカー選手としても人間としても、すべてがプラスになっている。あのまま日本でやっていたら、サッカーに対してこんな気持ちになれていなかった気がします。
日本で十数年やってきて、日本のサッカーもシステムも把握した上であと何年やれるかなと先を見ながらやるのと、何もかも新しい環境で、これからまた頑張るというのでは全然違います。
自分を知っている人からすればそんなに変わってないでしょうけど、自分の中では変わっているというか、吸収している部分があると思う。もし日本に戻るようなことがあったら、違う自分が見せられると思いますね」
まさに加地にとって“想像以上”の収穫を得ている今回の海外移籍だが、実は3、4年前から意識し始めていたのだという。それは加地の中でサッカーへの意識の変化が起こったことがきっかけだった。