フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
圧倒的に強い今季のロシア女子。
日本フィギュア界の女子選手は?
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2014/11/11 16:45
中国杯で優勝したトゥクタミシェワ。「自分も大きな舞台で活躍したいと思った」と活躍する同世代のロシア選手に対する思いを吐露した。
低迷期を乗り越えて盛り返したロシア女子。
ロシアの女子も、常に世界のトップクラスを保っていたわけではない。
イリナ・スルツカヤが2006年トリノ五輪を最後に競技から身を引いてから、2012年までの6年間、ロシア女子は欧州選手権で一度もメダルを獲得できなかった。ソビエト連邦が崩壊し、多くのコーチが海外に離散してしまったつけがついに巡ってきたかと思われた。
そんなロシア女子が盛り返してきたのは、2011年、アデリナ・ソトニコワが世界ジュニアチャンピオンに、トゥクタミシェワが2位になったあたりからである。2007年にソチ五輪開催が決定してから、プーチン大統領の肝いりで五輪に向けて強化活動が活性化された。ソチ五輪で金メダルを獲得したソトニコワは、まさにその成果といえる。ベテランコーチで振付師でもあるマリナ・ズエヴァはこう語る。
「ロシアの若いコーチが育ってきた、ということが大きいと思います。一部のエリートコーチだけではなく、次の世代の指導者たちがしっかり育ってきていることが、選手の育成に成功した理由でしょう」
かつての日本女子を思い起こさせるロシア。
競技に出たら必ずメダルを取る、という現在のロシア女子。実は10年あまり前の日本の状況によく似ている。シニアでは村主章枝、荒川静香、恩田美栄らが着々と表彰台に上がり続ける中、ジュニアには浅田真央、安藤美姫、太田由希奈、そして中野友加里らが控えていて、「パワーハウス」と世界から恐れられた。
「いずれは本格的に、日本女子が世界のトップを独占する時代が来る」と言われてきたが、それは実際に現実のものとなった。2003年/2004年シーズンには、GPファイナルは村主章枝、四大陸選手権は太田由希奈、世界ジュニアは安藤美姫、世界選手権は荒川静香と、この年のISUチャンピオンシップ全て(欧州選手権は除く)、日本女子が独占する快挙をとげたこともある。