ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
リーグでは降格圏、CLは決勝T進出。
ドルトムントと香川の“奇妙な状況”。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2014/11/05 16:30
CKキッカーを務めた香川の近くに発煙筒が投げ込まれるなど、ガラタサライとの一戦は異様な雰囲気の中で行なわれた。しかしその香川が蹴ったCKをゴールにつなげるなど、ドルトムントは4得点を奪って決勝トーナメント進出を決めた。
ムヒタリアン、香川、ロイスを固定して連動性を。
ただ、この課題に関しては改善の兆しは十分にある。
シーズン序盤は怪我人が多かったことに加えて、結果が出ないためにメンバーがコロコロと代わっていた。しかし、シーズン中盤にさしかかった最近の試合では、2列目ではムヒタリアン、香川、ロイスの3人をスターティングメンバーとして起用するようになってきた。チームの連動性を増すために必要なのは、試合をこなしていく以外にはないのだから。
CL第3節の試合後、香川は彼ら2人との関係についてこう話していた。
「彼らは技術も高いですし、コンビネーションでも崩せる選手。まだ2試合しかやっていないですが、連携を高めていければ、もっと良くなると思います」
香川自身は「手ごたえを感じているところがある」。
そして、今節を終えた後にはこう明言した。
「試合を重ねるごとに、僕としては手ごたえを感じているところがあります」
CLではグループ首位突破を図るという目標が残っているとはいえ、これからはリーグ戦に意識を向けていくことが出来る。
次の日曜日にはボルシアMG戦との試合が控えているが、ドルトムントはCLから5日後に、ホームでこの一戦を迎えられる。それに対して、ボルシアMGはヨーロッパリーグをキプロスの地で戦ったあと、中2日でこの試合に臨まなければいけない。
「準備期間が長く取れるので、コンディションは問題ないですし。必ず勝つという強い気持ちと、冷静に試合に入っていけるようにメンタリティも整えてやっていきたいと思います」
ガラタサライ戦の後、香川はそう語った。
ボルシアMGは今、リーグ戦で首位バイエルンと勝ち点4差の3位につけ、バイエルンの対抗馬に挙げられるほどの好調さだ。リーグでの両者の状況を考えれば、ドルトムントが勝ち点を得るのは簡単ではない。しかし、CL決勝トーナメント進出を決めた勢い、そして試合日程の妙によって、彼らを倒すための条件は整っている。そして難敵を倒すことが出来れば、また状況は大きく変わるはずだ。
果たして、ドルトムントはこの正念場を乗り切ることが出来るだろうか。