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今宮健太、高校通算62発からの変身。
「小技と守備」でSBを日本一に導くか。  

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2014/10/27 11:30

今宮健太、高校通算62発からの変身。「小技と守備」でSBを日本一に導くか。 <Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

172cm、68kg。小さな体で生き残る術を求めて、スタイルを確立しつつある今宮健太。2年連続でリーグ最多の62犠打を記録した。

高校通算62発のスラッガーがバントを駆使する理由。

 守備ではまだ自らの未熟さを認める一方で、バントには完璧なまでの安定感を求めている。

 高校時代は通算62本塁打をマークするほどのスラッガーだった今宮が、プロでバントなど小技を駆使するようになったのは、純粋に「打てなかったから」だった。

 レギュラーのチャンスが巡ってきた3年目の2012年。本人いわく、「ひたすらバットを振った」が結果を出すことができなかった。今宮は当時の苦悩をこう振り返っていた。

「普通なら二軍に落とされてもおかしくない成績なのに、監督に使ってもらっていて。3年目だったし、『そろそろ自分のバッティングを固めないといけない』というか。思い切って意識を変えようということで、小技を使うようにスタイルチェンジしました」

好守と「100%成功させたい」犠打で、日本一を。

 意識改革のきっかけは、シーズン序盤に訪れた。

 4月29日のロッテ戦で決めたプロ初バント。それまで、どちらかといえば不得手だったプレーを完璧にこなせたことで、今宮は「俺、バントもちゃんとできる」と確信を抱いたという。この年、23回企図したうち21回で成功。翌年にはリーグ新記録の62犠打、今年も自身が持つタイ記録を残すなど、今では「100%バントを成功させたい」と絶対的な自信を持つまでになった。

 打率や本塁打などの数字だけを見れば派手な成績を収めていない。だが、今宮は守備とバントという確立させたスタイルを磨き続けることによって、「プロとして一人前」と評されるレギュラー3年目を迎えることができた。

 今宮にとって未知の領域である日本シリーズでは、ミスはしたが守備で観衆の度肝を抜き、バントで勝利にも貢献した。

 この若鷹がソフトバンクの日本一の功労者となることだって、十分にあり得るのだ。

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