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オシムが語る新生日本代表の2戦。
「選手は少し疲れていたのだろう」
posted2014/10/03 16:30
text by
イビチャ・オシムIvica Osim
photograph by
Sports Graphic Number
メルマガ「イビチャ・オシムの『オシム問答』」。
最新号の中身をちょっとだけ……特別にご紹介いたします!
▼Lesson.89 目次
【1】 〈今週の「オシム問答」〉
「もはやサッカーの世界に小国はない」
【2】 〈オシムとの対話〉
「香川は……少しずつ、よくなっているのだろう」
【3】 〈オシム・日本のワールドカップを語る〉
「日本はできることを示していたが、ブラジルで試みなかった」
【4】 〈オシムとの対話~レストラン・ネリにて〉
「人は正しいと確信できる方向ならばよく働ける」
【5】 〈オシムの教え〉
「サッカーを愛するのとサッカーを生きるのは別だ」
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【2】 〈オシムとの対話〉
「香川は……少しずつ、よくなっているのだろう」
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――リーグはいいのですが、代表はスタートがあまりよくありませんでした。初戦のウルグアイに敗れたのに加え、ベネズエラ戦も引き分けに終わりましたから。
オシム:ウルグアイは難しい相手だ。勝つのは簡単ではない。
――初戦の相手としてはかなり厳しかったです。
オシム:ベネズエラにしても侮れない。南米の中で常に予選突破のためにしのぎを削っている。多くの選手がヨーロッパでプレーしチームの質も高い。南米でも5~6番手の位置にいるといえる。ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、チリ、コロンビア……。ベネズエラはそれに続く存在だ。
しかも中南米は全体にレベルが上がっている。他にもコスタリカやホンジュラス、エクアドルなども力をつけている。いわゆる小国といわれる国々とも慣れておくべきだ。南米のチームは、どこも抜け目がなく知的にプレーする。ワールドカップでは、彼らが驚きを作り出した。彼らは野心に満ち、モチベーションがとても高かった。テクニックとフィジカルでもレベルが高かった。またどこもブラジルでプレーすることに慣れ、気候や雰囲気への違和感がなかった。
――日本は2試合で4失点を喫しましたが、すべてがつまらないミスがらみでした。
オシム:選手は少し疲れていたのだろう。ヨーロッパから戻っていきなり試合をするのは大変なことだ。そのうえ南米のチームは、どんなときでも存在感を示す。彼らに勝つにはプラスアルファが必要だ。私が思い出すのはコロンビアとの親善試合(2007年6月5日、埼玉)だ。とてもひどい試合だった。(日本に関しては)結果に一喜一憂することなく、仕事を続けていくべきだ。
――アギーレは……。
オシム:日本の選手は今も進歩し続けている。ヨーロッパのどこにも日本の選手がいる。
――香川もドルトムントに復帰して調子を戻しました。
オシム:私も見たが、香川は悪くなかった。少しずつよくなっているのだろう。まだ以前の香川ではないが。
――他にも岡崎もいいですし……。
オシム:彼はちょっと怪我をしていたようだが、あまり関係ないほど良くやっている。戦いを厭わず、まるでオリッチ(ヴォルフスブルク)のようだ。精力的に走り回ってどこにでも顔を出す。それに長友も悪くない。キャプテンの長谷部も、以前の彼ではなくなっているにせよ、また調子を戻してきた。
――本田にしてもそうです。それからアギーレは、チームのプレースタイルを少し変えました。スピードと縦の深さにアクセントを置き、より速い攻撃を志向しています。そのうえ新しい選手も何人か試して、チームはワールドカップから様変わりしました。どうなっていくかはこれから次第ですが。まだスタートしたばかりなので、何も評価する段階ではないですから。
オシム:それはそうだ。なるべく早く君に会えることを願っている。