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女子七種競技の新星・ヘンプヒル恵。
東京五輪を視野に、まずは高校制覇。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2014/08/17 10:40
高校総体ではハードスケジュールをこなしながら、最後の800mも自己ベストを更新するという底知れないポテンシャルを見せたヘンプヒル恵。
9連覇王者・中田有紀の後継者としての期待。
ヘンプヒルのタフさが鮮烈な印象をもたらしたのとともに、今大会での活躍は、別の点でも意味がある。
日本の七種競技は、これまで中田有紀が突出した存在だった。中田は2002年から2010年まで日本選手権で9連覇し、2004年のアテネ五輪に七種競技では日本人として初出場を果たした。今なお、オリンピックに出たのはアテネの中田のみだ。記録の面でも、2004年に出した5962点の日本記録をはじめ、国内では抜きん出ていた。連覇が途絶えた2011年以降の日本選手権で、他選手の優勝記録が5400~5500点台で推移していることも、中田がどれだけ大きな存在であるかを物語る。
そういった状況の中で、ヘンプヒルが高校3年生としてこれだけハイレベルな記録を出したことは、日本の七種競技の今後にとって大きな意味がある。
世界の壁が厚いと言われてきた七種競技だけに、楽しみも一層増すと言える。
「東京オリンピックも視野に入っています」
七種競技優勝後に語ったヘンプヒルは、こうコメントしている。
「ほかの人にできないことができてこそ、自分です」
陸上界に、また楽しみな選手が1人、出てきた。