沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
負け続けて愛されたアイドルホース、
ハルウララに会いに行ってみた。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAkihiro Shimada
posted2014/07/26 08:00
「マーサファーム」で余生を過ごすハルウララと宮原優子さん。事前に予約すれば見学も可能だそうだ。
武豊騎乗の日、高知競馬場は入場制限の措置が。
高知競馬場の入場ゲート前には開門前から約3000人が長蛇の列をつくった。午後2時過ぎには観客が収容可能な過去最高の1万3000人に達し、同競馬場で初めて入場制限の措置が取られた。入ることができなかった観客は、競馬場から2キロほど離れた県営陸上競技場の大型画面などでレースを観戦した。この日は入場人員のほか、ひとつのレースでの馬券売上も、1日の総売上も高知競馬場最高記録を更新した。
ハルウララは1番人気に支持されたが、11頭中10着に終わった。それでも、武が「負けてもやろうと思っていた」というウイニングランでスタンド前に戻ると、超満員の観衆にあたたかい拍手で迎えられた。
ハルウララはその年、'04年の8月3日のレースで5着に敗れたのを最後に現役を引退。それが113連敗目だった。なお、最多連敗記録は、浦和競馬で'92年に引退したハクホークインの161連敗である。
ハルウララは、当時の馬主の意向で関東に移送されるなどし、その後、消息がはっきりしなくなっていた。
ところが今月中旬、千葉県のNPO法人「引退馬協会」が公式サイトで公開した情報により、所在が明らかになったのである。
ハルウララは今、千葉県の預託牧場にいた。
ハルウララは、今、千葉県御宿町の預託牧場「マーサファーム」で元気に過ごしている。
同馬が元馬主の預託馬としてこの牧場に移ってきたのは、一昨年の冬、'12年12月初めのことだった。
「来たばかりのころは、飛んだり跳ねたりと、うるさいところを見せていました。人との距離のとり方をわかっていなかったようです。競走馬は、我を出しても許されるところがありますからね」
と、マーサファームでハルウララの世話をする、「春うららの会」代表の宮原優子さんは言う。
寂しがって鳴いたり、小さな物音に驚いていたハルウララも、少しずつ環境に慣れ、落ちついてきた。
しかし、預かってから半年ほど経った昨年6月を最後に、元馬主から月8万円の預託料の支払いが途絶えてしまった。
そのため、今年2月に元馬主と宮原さんらが文書を交わし、元馬主がハルウララの所有権を放棄。宮原さんらに譲渡されることになった。
さらにハルウララは、前出の引退馬協会が会員をつのるサポートホースとなった。今後は、有志による出資金で、同馬を養っていくことになる。