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負け続けて愛されたアイドルホース、
ハルウララに会いに行ってみた。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byAkihiro Shimada

posted2014/07/26 08:00

負け続けて愛されたアイドルホース、ハルウララに会いに行ってみた。<Number Web> photograph by Akihiro Shimada

「マーサファーム」で余生を過ごすハルウララと宮原優子さん。事前に予約すれば見学も可能だそうだ。

アイドル時代とかけはなれた、のんびりした余生。

 ハルウララがここに来てから1年半ほどの月日が過ぎた。午前中は放牧に出て、週に3回ほど乗り運動をこなす。午後は自分の厩でのんびりしている。

「以前は馬房のなかで触らせなかったのですが、今では寄ってくるようになりました。ずいぶん丸くなりましたね」

 と宮原さん。

 初対面の私が馬房に前に立つと、しばらくは耳を細かく動かし警戒していたが、少し経つと自分から鼻面を寄せ、顔を撫でさせてくれた。

「ウララには、何を望みます?」

 私が訊くと、宮原さんは、

「何も望みません。ただ、元気に過ごしてくれればそれでいいです」

 と笑顔を見せた。

人間に振り回されながら、最後に得た安楽の地。

 ハルウララの現役時代を知ってはいたが、特にファンだったわけではないという宮原さんは、今、この馬を「うーちゃん」と呼んでかわいがっている。

「これだけ頑張って注目を集めた功労者なのに、どこにいるかもわからないまま終わってしまうのはかわいそうだと思っていました」

 人気者だけあって、取材も問い合わせも多いという。

 人間の思惑に振り回されながらも、ハルウララは最後に安楽の地を得た。

 そもそもサラブレッドは、人間の都合で配合相手や生き方を決められる特殊な生き物だ。日本だけでも年間7000頭ほど生産されるわけだが、私たちが7000頭すべての余生を把握するのは不可能だ。だが、不可能だとしても、ときにこうして考えてみることは必要なのではないか――と、立ち止まる機会をハルウララが与えてくれた。

 なお、ハルウララのサポートホースとしての詳細などは、「春うららの会」公式サイトを参照されたい。

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