MLB東奔西走BACK NUMBER
オールスター初選出はむしろ“当然”?
年を重ねるごとに成長する上原浩治。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2014/07/14 10:30
7月10日時点で41試合に登板し、5勝2敗18セーブ、防御率1.27。低迷するチームにあって、抜群に安定した成績を残している上原浩治投手。リリーフという厳しい環境下で、この数字は驚異的と言っていいだろう。
消耗が激しく、世代交代が早いリリーフ投手。
それにしても上原のずば抜けた安定感はまさに驚異的と言わざるを得ない。
中4、5日間隔で定期的に投げられる先発投手とは違い、毎試合準備を整え、チーム状況に合わせて登板を強いられるリリーフ投手は、最も消耗が激しいポジションだ。
それだけに毎年安定した成績を残すのは至難の業で、世代交代が最も激しいポジションでもある。最近ではリリーフ投手の中で最も登板場面が明確なクローザーでさえ、同一チームで長年投げ続けるのが難しくなっているくらいだ。
例えば、昨年のオールスター戦に選出されたグラント・バルフォア、ブレット・セシル、ジェシー・クレイン、スティーブ・デラバー、ジョー・ネイサンの各リリーフ投手たちは、クレインが3月に右肩手術で戦線離脱し、他の投手たちも皆不振を極めている。
昨年から引き続きオールスター戦に選ばれたリリーフ投手はホランドとパーキンスの2人だけなのだ。
「4月5月は16年で一番良かったと思う」
しかし上原は、リリーフに回った2010年以降際立って崩れたシーズンは一度もなく、むしろ年を追うごとに成績が良くなっている。
今シーズンも、メジャー人生で最もフル回転だった昨シーズンの影響を全く感じさせず、むしろ体調的にはプロ生活の中で最も安定しているそうだ。
「(今シーズンも)全然いつも通りですし、何も変わらずです。今年でプロ16年目ですけど春先はいつも調子が悪いので、そういう意味では今年は4月5月の過ごし方が16年で一番良かったと思う」
4月に広背筋を痛めた際、昨年の疲労が残っていたのではと心配していたが、上原自身は最も手応えを感じる春先を過ごしていたというのだ。
とはいえ、それだけで順調に投げ続けられるほどメジャーは甘い世界ではない。投げ続ければ疲労は蓄積されていくし、それぞれの条件下でベストな投球をしていくという作業は毎年のように変わっていく。