ブラジルW杯通信BACK NUMBER
11人のチームと、“独裁者”の決勝戦。
「至高のW杯」はどちらの手に。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/07/11 16:30
ブラジルに大勝し、クローゼはW杯通算最多となる16ゴール目も決めた。チーム状態もまさに万全と言えるドイツが、南米の地で王座に着くのか。
“至高のW杯”を手にするのはどちらの国か?
動かずに敵の足を止める。かつてそんな芸当を可能にしたのは、ディエゴ・マラドーナだけだ。
アルゼンチンが決勝でドイツを破った'86年大会は“マラドーナが一人で勝った大会”と言われる。もし、13日の決勝でアルゼンチンが3度目の世界一を獲れたら、それが“メッシのタイトル”と呼ばれたとしても、何ら誇張にはならないだろう。
「この大会で優勝したい。南アフリカでかばってくれたディエゴのためにも、国民のためにも優勝したい」
自らのキャリアに唯一欠けている黄金の優勝カップを掲げたい。メッシは、いよいよ優勝への欲をむき出しにしている。
準々決勝ベルギー戦で決勝点を挙げながら、脇役に徹しているFWイグアインも「欲しいのは優勝カップだ」と決意を固める。右太ももを故障したMFディマリアの回復具合は微妙だが、大会を通じて奮闘を続けるベテランMFマスチェラーノや守護神ロメロの士気は高い。
メッシ以下全員総出のアルゼンチンは、ドイツを自分たちの間合いに引きずり込めるだろうか。
サッカーの王国ブラジルで開催された今大会は、世界中で“至高のW杯”と呼ばれる。
The World Cup of the World Cups.
栄冠は、聖地マラカナンで待っている。