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ザンビア戦は“敗戦に近い”逆転勝利。
本田、吉田、ザック……漂う危機感。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images
posted2014/06/07 14:00
「前の試合と同じ。先に失点したので課題が残りますね。まだビデオを見ていないので何とも言えないですけど……次までに修正しないと」。試合後、淡々とコメントした本田。
攻撃面での手応えと、守備面での未解決問題。
本田の2得点、香川真司の2試合連続ゴール、サプライズ選出の大久保嘉人のゴールと、攻撃面では上々のものが見えてきているほか、攻撃のバリエーションも確かに増えている。けれども、失点パターンが依然として解決されていない。これを残り1週間でどのように改善していくのか。
吉田は、「ポジティブなところは後半押し上げたことと、こういう試合でも勝ったこと。ここまで来たらじたばたすることはない。リーチの長さなどがわかったことは好材料。引き締めということもポジティブに考えたい」と前を向いたが、口にしながら自分に言い聞かせているような雰囲気も漂っていた。
4年前の守備的な戦術とは一線を画し、攻撃的なスタイルを貫くことをチームの総意としているザックジャパン。本田は、「前回と今回の守備を単純に比較しても参考にならない。前回のスタイルだと失点はしなかったかもしれないけど、4点は取れなかった。このスタイルで行くと決めた以上はこれを貫く」と言った。そして、「3-2や4-3の試合? 想定はしたくないけど、でも実際に起こっているので覚悟は持っていないといけない」とも加えた。しかし、言葉尻はハッキリしておらず、思案は続いている。
コートジボワール戦まで残り1週間。修正の時間は多く残されていないのが現状という今、チームはどのようなアプローチで大会に入るのか。本田が言うとおり、ここから方向を変えることはこのチームにとって得策ではない。本番前に課題を再認識したことをポジティブに考え、結束を高めて残り期間を濃いものにしていくしか手はないのか。ザックジャパンは最後の最後に重い現実を突き付けられた。