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世界のCBの頂点に立つ“モンスター”。
チアゴ・シウバ、故郷でのW杯決勝へ。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2014/05/27 10:40
2013年、母国でのコンフェデ杯決勝ではスペインを完封し、ブラジルにタイトルをもたらしたチアゴ・シウバ。代表、クラブ双方で主将を務める生粋のキャプテンでもある。
“モンスター・ザゲイロ”、故郷へ凱旋。
チアゴ・シウバはすべてが思い通りに進んだエリートではない。挫折は19歳でFCポルトに移籍したときに訪れた。診断が難しい病気のひとつである肺結核に感染してしまい、当時はまだ原因がわからず、謎の体調不良に悩まされながらプレーしていた。ディナモ・モスクワにレンタルで放出されたとき、ついに原因が判明したが、異国の地の隔離病棟に入院せざるをえなくなった。「あのときは引退の危機にさらされていた」とのちに告白している。
だが、病に打ち勝ち、ユース時代を過ごしたフルミネンセへ帰還したことが転機となる。クラブでの活躍が認められてA代表に選ばれるようになり、オーバーエイジ枠で北京五輪に出場して銅メダルを獲得。元ブラジル代表のレオナルドの誘いでACミランに移籍すると、あとは目の前の敵を蹴散らすだけで、自ずと評価が高まっていった。
ブラジルW杯の決勝の舞台は、復活を遂げた故郷リオデジャネイロだ。目標は当然、世界王者である。
「ブラジルサッカー史に名前を刻みたい。トロフィーを掲げたいんだ。W杯で優勝することを夢見ている」
ブラジルが誇る“モンスター・ザゲイロ”が、さらにセンターバックの地位を高めようとしている。