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メッシ、全てを得た男の最大の挑戦。
母国の不信と代表引退危機を超えて。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2014/05/12 10:50

メッシ、全てを得た男の最大の挑戦。母国の不信と代表引退危機を超えて。<Number Web> photograph by Getty Images

2011年に就任したサベージャ監督からキャプテンに指名され、予選を戦う中で国中の信頼を勝ち得たメッシ。26歳、キャリアのピークと言える年齢でのW杯は彼がいまだ持たないフル代表でのビッグタイトルをもたらすだろうか。

恵まれた組合せ、最高の年齢、ジンクスも問題なし。

 GKのロメロを含めた最終ラインの脆さがアキレス腱であることは否めないが、メッシを中心とした攻撃陣の破壊力はその不安を上回る期待感を見る者に抱かせる。

 実際、コロンビア戦以降のアルゼンチンは順調に勝ち点を積み重ね、危なげなくワールドカップ予選を首位で終えた。並行してメッシはアルゼンチン史上最多タイの年間12ゴールを挙げるなどコンスタントに活躍し、一部のファンやメディアが抱いていた根強い疑いの目を完全に払しょくしてみせた。

 苦しい時期を乗り越え、遂に相思相愛の関係となったメッシとアルゼンチンにとって、6月のワールドカップは1986年大会以来、28年ぶり3度目の世界制覇を成し遂げるまたとないチャンスとなる。舞台が隣国ブラジルのため多数のファンの後押しが期待できる上、グループリーグの組み合わせ抽選では対戦相手、試合会場共に全32チーム中最も恵まれた。

 1986年大会で主役となったマラドーナは当時25歳、そしてメッシも26歳という最高のタイミングで今大会を迎えることができる。4年前に話題となった「前年のバロンドール受賞者はワールドカップで活躍できない」というジンクスも、今回は心配する必要がない。

 バルセロナで見せる不安定なプレーは手抜きが原因なのか、他に理由があるのかは分からないが、メッシが今回のワールドカップをキャリア最大のイベントと位置づけていることは間違いない。情熱の欠如をたびたび指摘されてきた彼だが、ブラジルのピッチでは全力で戦う姿を見せてくれるはずだ。

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