オリンピックへの道BACK NUMBER
最年少優勝の平野美宇&伊藤美誠。
日本卓球界が迎える“黄金時代”。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/04/13 10:40
優勝賞金を聞いて驚く顔がかわいいと話題になった平野美宇(左)と伊藤美誠の13歳ペア。平野は「コーチの方たちや友人、家族にプレゼントをしたい」とコメントしている。6年後の東京五輪が今から楽しみだ。
4月8日、海外遠征から帰国し、羽田空港に降り立った卓球の平野美宇と伊藤美誠(みま)の中学2年生コンビは待ち受けた報道陣、彼女たちに気づいた一般客に、どこまでもにこやかだった。
無理もない。3月30日、ドイツ・オープンのダブルスでワールドツアーでは史上最年少の記録となる13歳での優勝を飾ると、4月6日のスペイン・オープンでも2週連続優勝を果たした。平野は同大会のシングルスでも、やはり史上最年少となる準優勝と、好成績を並べての帰国だった。
「うれしいし、応援や指導をしてくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです」
平野が言えば、伊藤も率直に喜びを示した。
「最年少優勝という記録を作れて、すごくうれしいです」
これまでにも数々の記録を打ち立ててきた2人。
2人は、早くから注目されていた選手たちだ。
平野は3歳で卓球を始め、小学校に上がる前から頭角を現した。小学3年生だった2010年には、史上最年少で全日本選手権一般の部に出場している。
一方の伊藤は2歳から卓球を始め、'11年の全日本選手権一般の部に出場、10歳90日での史上最年少勝利をあげた。
'12年1月の同大会では、平野、伊藤ともに一般の部で3回戦に進み、平野は高校2年生以下を対象としたジュニアの部で、福原愛以来13大会ぶりとなる小学生での準優勝を遂げている。
昨年はそろって世界ジュニア選手権に出場し、団体で銀メダルを獲得した。これらの好結果から将来を期待されていた2人が、今回、大活躍を見せたのである。
年齢的に、2020年の東京五輪への期待も高まる。当の2人も、日本でのオリンピックを意識している。
「お世話になった方々が見に来てくれると思うので頑張りたいです」(平野) 「ロンドン五輪の団体の銀メダルに感動しました。今度は自分たちで金メダルを取って、感動を与えられるように頑張りたいです」(伊藤)
先行きが楽しみな2人だが、抱負を実現させるためには、決して低くはないハードルもある。海外の上位の選手とどう戦っていくかもあるが、何よりも日本の若い世代の層が厚いのだ。