セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「本田は火星人」の意味すること。
伊紙が指摘する新10番の泣き所。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byREUTERS/AFLO
posted2014/02/03 12:10
トリノのCBモレッティから執拗なマークを受け、試合を通して苦しんだ本田。「鳥かごに入れられたように苦しんでいた」と報じたのはトリノの地元紙。
現役時代のセードルフは、笑顔を欠かさなかったが……。
FWチェルチが狙い澄ました29分のカウンターで、トリノの2点目が決まらなかったのは、幸運以外の何物でもなかった。
「うちは確かに後半引きこもったよ。だが、サンシーロへ来るチームすべてが、オープンな打ち合いに付き合ってくれるなどと思わないことだ」
サンシーロで老獪に勝ち点1を奪った試合の後、指導者歴38年を数えるトリノのベントゥーラ監督は、満足気に語った。
どんなに苦い敗戦でも、現役時代のセードルフは試合後にスマイルを欠かしたことはなかった。しかし、監督になってからのセードルフは、表情から困惑の色を消すことができない。
「ロビーニョと本田を左右に開かせたのは私の指示だ。前の4人とDFラインの間が分断されて大きくスペースが空いた。うちのプレーはリスクを伴うが、それは承知の上だ」
チームは5人目のトップ下を獲得、次節はナポリ。
1月31日で冬の移籍市場が終了し、チェルシーからガーナ代表MFエッシェンが、フルアムからモロッコ代表MFターラブトが加わった。24歳のターラブトはチーム5人目のトップ下だ。
攻撃に偏ったミランの歪な補強方針は今に始まったことではないし、守備の再構築に手を付けたくても、それには時間と手間がかかることはセードルフも知らないはずがない。
ただ、今は現実的選択として、偏ったチームバランスを修正するより、攻撃の選手に気持ちよくプレーさせることを優先させているのだろう。
次節ナポリ戦で戻ってくるバロテッリを軸に、攻撃カルテットの連携を深めることは急務だ。さもなくば、名将ベニテスに率いられ、4-2-3-1の本家であるナポリ相手の苦戦は必至だろう。
“火星人”呼ばわりされた本田は、次の試合で2列目の真ん中に戻るだろうか。プレーするポジションによらず、彼はこの地上に足をつけてプレーをすることを思い出さなくてはならない。