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セードルフ新監督の初陣で白星発進。
本田はミラン待望の“物言うリーダー”。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byItaly Photo Press/AFLO

posted2014/01/20 12:40

セードルフ新監督の初陣で白星発進。本田はミラン待望の“物言うリーダー”。<Number Web> photograph by Italy Photo Press/AFLO

バロテッリと肩を並べ、チームの“リーダー”として振る舞いつつある本田圭佑。先日インテルで長友がキャプテンマークを巻いたことが話題になったが、本田がそうなる日も遠くはないかもしれない。

ミランに必要だったのは、強烈なリーダーシップ。

 冬の市場で加入してくる選手は、あくまでも助っ人であって、チームの中核的存在に据えられることは少ない。'07年冬にやってきた“怪物”ロナウドですら加入当初の扱いはそうだったし、翌年に加入したMFベッカムも自らの役目をわきまえていた。何より、彼らが移籍してきた頃のミランには、まだ“生ける伝説”マルディーニや“闘犬”ガットゥーゾといった精神的支柱がいた。

 黙ってプレーで範を示すキャプテンシーなら、今でも主将モントリーボやカカがいる。しかし、ミランに必要だったのは、言葉と行動で強烈なリーダーシップを示す選手だった。

 本田が早くもその役目を負い、ごく短期間で周囲を巻き込みつつあることに驚いた。日本人離れした彼の押しの強さを、セードルフ新監督も頼もしく思っているはずだ。

 ただし、ぎこちなさの残るミランの攻撃陣は、まだフィニッシュに雑さも見られた。

 たった3日やそこらの練習で、連係プレーの呼吸をピタリと合わせられれば、どんな監督も苦労はしないのだ。

 0-0のまま迎えた56分、カウンターのチャンスに、本田はミドルシュートを右に外した。記者席後方の観客席から「ヘタクソ日本人め!」と罵声が飛ぶのを聞いた。

 本田はその後、63分にMFビルサと交代した。タッチラインをまたいだ後、何かやり残したことがあるように、グラウンドを一瞥したその表情は険しかった。

今日にでも、セードルフに意見をぶつけるに違いない。

 82分にカカが得たPKをFWバロテッリが冷静に決めて、ミランは何とか1-0の勝利を収める。指導者歴わずか4日のセードルフは、記念すべき初陣を白星で飾った。

「この勝利をすべてのミラニスタたちに捧げたい。勝ちはPKによるものでも、ミランは勝利に値した。本当に嬉しい」

 現役時代、白い歯の笑顔がトレードマークだったセードルフは、初采配によほど緊張していたのか、試合後の会見でも強張った表情が印象的だった。

 本田もこの日は日本のTVメディアの質問に短く応対した。「周りをどの程度生かせているか?」という質問に対して「全然。まだ50%もできていない」と答えた。

 それでも、チームメートたちの期待は大きい。

 試合中、カカはボールを持っていないときでも必ず本田の位置をチェックしていた。PKを決めたバロテッリも「カカやロビーニョ、本田と4-2-3-1をやるのは楽しい」と試合後に話している。

 練習と、相手ある実戦とでは雲泥の差がある。

 コンディション不十分のリーグ2戦目で、アシストを決めさせてもらえるほどセリエAは甘くない。だが、22日のコッパイタリア準々決勝ウディネーゼ戦に向けて、本田は今日にでもセードルフを捕まえて、意見をぶつけるにちがいない。

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