ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
松山英樹の左手故障は能力の証!?
パワー、バネ、安定感がアダになる。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byGetty Images
posted2014/01/17 16:30
ソニーオープンのプロアマ戦での松山英樹。左手親指付け根には複数枚のテーピングがなされ、怪我のコントロールが簡単でないことを想像させる。
今は自分を見つめなおす時期。松山にはそれができる。
復帰は1月第4週、サンディエゴ近郊で行われるファーマーズ・インシュランスオープンが濃厚だ。
だがカムバック直後の結果に、ただ一喜一憂するわけにはいかない。2月25日に22歳の誕生日を迎える松山の若さは、他のプロにしてみれば羨むべきもの違いないが、成瀬氏は警鐘を鳴らすことを止めない。
「痛みを引かせることは休めばできる。でも同じ打ち方では間違いなくまた痛くなる。スイング自体ではなくタイミングの問題ですが“痛くならない打ち方”をすべきことに、どれだけ早く気づけるか。痛くない動きは、体に負担をかけない動き、再現性の高い動きなんです。無理をすれば負担がかかる。それを感じるべき時です。試合に出たいというのは向上心に他ならない。けれど『自分の体はどうなるんだろう?』と後ろを振り返れないのだとしたら、それは“若さ”の悪いところなのかなと思う」
躓いた原因を、徹底的に追及すべき時期が今。それは傷を癒すこと以上に大切だ。
救いなのは松山が、客観的に自分自身を見つめられる心の持ち主であることだと思う。
昨年末、彼は自分の体についての評価について世間の見方と大きなギャップがあることを吐露していた。
「自分の体は“ただ、太い”だけ。もともと強くはないんです。大きいから強いと思われがちなんですけどね。だからこれから、本当に強くしていきたい」
戦いの場を米国に移したプロ2年目。目の前のピンチとも、謙虚に向き合うはずだ。