日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
「GKは、日々の積み重ねが出る」
権田修一が語る、代表での“役回り”。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byREUTERS/AFLO
posted2014/01/06 10:30
ザックジャパン唯一のA代表キャップである、東アジア杯でのオーストラリア戦。ロンドン五輪でのベスト4にも貢献し、次世代のゴールキーパー筆頭が権田であることは多くの人が認めるところだろう。
代表合宿で感じる「やり甲斐」とは。
日々の積み重ね――。
試合に出る、出ないよりも“出るために何をするか”“出ないときに何をするか”を大事にしてきた。これはFC東京だろうが、代表だろうが彼の姿勢に変わりはない。権田のポリシーを映し出す言葉に聞こえてくる。
代表合宿では、練習後のミックスゾーンで話を聞くといつも「やり甲斐ありますね」と充実した顔を向けてきた。試合に出る可能性が少ないとしても、だ。代表でのそんな振る舞いを持ち出すと、彼は少しだけ表情を緩めた。
「チームでの練習も、代表での練習も僕にとっては重要な場所です。代表のことで言うなら、日本のトップの人たちが集まっている場所だし、一緒にプレーするだけでも、プレーを見るだけでも、意識を感じるだけでも自分のためになる。(試合に)出るのがベストだけど、出る出ないにかかわらず、(練習のなかで)やり続けることが成長につながると信じてやってます」
出られるか出られないかがはっきりしたポジション。
シュートブロックの技術や、クロスに飛び出していくタイミングなど正確な判断力はFC東京でのプレーを見ても、レベルを上げているのは一目瞭然。ただ、彼は己だけに目を向けてきたのではない。チームにおける自分の役割を忘れず、ここまでやってきた。
「ゴールキーパーというのは、出るなら出る、出ないなら出ないと割とはっきりしたポジションで、そこはフィールドプレーヤーの人とはちょっと違ってくる。ゴールキーパーはそこにストレスを感じてしまうと、いいことがない。
サブのキーパーというのは、チームにとって必要なポジションだし、その立場の選手がどういう姿勢を取るかが、全体にもかかわってくるんじゃないかと僕は思ってます。試合に出る努力をすることに変わりないし、常に試合に出る準備をしておくのは当然ですよ。ただ、逆に(試合に)出る、出ないがフィールドプレーヤーよりはっきりしている分、出ないとなったら、フォア・ザ・チームの姿勢でやんなきゃいけない。そこがチームにとって大事になる部分ですから」
試合に出るために全力を尽くした後、サブに回るとなったら切り替えて裏方に徹する。
先のベルギー遠征でも、試合に出る西川や川島に対して気合いを入れるように手を叩いたり、メンバーに向かって積極的に声を掛けているシーンが見られた。また、裏方に回るばかりではなく、以前には連係の修正ポイントにおいて自分が思っていることを意見したこともあるようだ。24歳の若手だろうが、控えのゴールキーパーだろうが、チームを良くしようと思う気持ちがあればそこに遠慮など要らない。誰かに意見を求められたら、すぐに答えられる用意が権田にはできている。