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浅田真央は決して言い訳をしない。
最後の全日本も、笑顔で魅了する。
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto
posted2013/12/20 10:30
GPファイナル浅田の演技に対して、客席からは喝采とともに多くの花が投げ入れられた。笑顔の裏で、彼女はどれだけの困難を乗り越えてきたのだろう。
思わず「悔しい」という言葉が漏れた。
スケートアメリカでは、ショートは片足で降りたものの、フリーでは転倒した。
「初戦からトリプルアクセルに挑戦できる状態で試合に臨んでいることが、これまでと違います。練習では跳べています」と強気発言。
NHK杯では、ショート、フリーとも着氷でバランスを崩した。
「とにかく練習を続けていけば出来る、という感触がある。練習でもっと100%の力を出し切ることで、試合の1発に持っていけると思う」と、さらなる練習を誓った。
GPファイナルでは、とうとうショート1本、フリー2本の計3本に挑戦した。ショートは回転不足判定ではあったが、最高の感触で着氷。ところがフリーは転倒と両足着氷と、力を発揮できなかった。
「(フリーでは)まだ自分が思うようなトリプルアクセルを初戦から出せていないけれど、GPファイナルはフリーで2回できるチャンスなので自分の最高レベルのことに挑戦しようと思いました。2回入れるシミュレーションがもっと必要、というのが今の気持ち。悔しいです」
思わず「悔しい」という言葉が漏れた。だからこそ、期待していい。逆境こそが彼女のパワーになる。
これから全日本選手権、そしてソチ五輪と続く。トリプルアクセルがどんなに困難であろうと、浅田は黙って挑戦するだろう。そして長い戦いを終えた時、彼女はどんな苦労話を、そして強い心のさまを打ち明けてくれるのか。23年の集大成の演技は、もうすぐそこまで来ている。
浅田は常にポジティブな言葉しか口にしない。