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15歳の新星は練習の鬼で小心者?
宮原知子、ソチを胸に大一番に挑む。
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAFLO SPORT
posted2013/12/14 08:01
村上佳菜子、今井遥よりも一世代下、15歳の宮原知子はまさに新世代の旗手。
挫折から半年、宮原のジャンプは見違えていた。
ジュニアの試合では、ジャンプの質よりも、いかに難しい3回転を降りたかどうかが評価される傾向がある。そのため、回転不足を気にするよりも、転ばないことに気をつける、という練習をしていたのだ。しかし質を追求するならアプローチは全く異なり、踏み切る時に高いジャンプを跳べば、自然と回転数が足りたジャンプになる、という考え方になる。
もちろんジャンプの跳び方を変えるというのは簡単な作業ではないが、宮原はコツコツと練習した。そして早くも、9月にアルメニアで行われた強化合宿の時には、見違えるほどに高さのあるジャンプを見せる宮原がいた。まだ成功率は50%ほどだったが、成功したときは完全な回転のジャンプだった。
「調子が良い日は、前に比べてかなり良い感じに上がっています。調子が良く無い日は、まだ回転不足っぽくなったりするので、これからもっと練習して、どんな時でも回転不足なく降りられるようにします」
15歳ながら自分の弱点と正面から向き合える。それが宮原の強みなのだろう。そして15歳とは、五輪出場が可能になる年齢。宮原は、その光を掴むため、今季はシニアへの移行を決意した。
「今シーズンは五輪があるので、それに向けてGPシリーズとか全日本とか、緊張してもちゃんと自分が満足いく演技をしたいです」
国際大会デビュー戦、極度の緊張と確かな手応え。
宮原の公式な国際大会デビューは、いきなりNHK杯だった。浅田真央、鈴木明子も出場する同大会は超満員で異様な熱気。しかもシステムトラブルでフリーでは宮原の出番が30分ほど遅れるハプニングもあった。
極度の緊張もあって、のびのびと演技したとは言えなかったが、3回転の回転不足判定は4つと減り、2月の世界ジュニアよりは進化した手応えをつかんだ。
「ジュニアと違ってお客さんが凄くて、緊張してしまいました。もっと思い切っていけば良かったです。でもトップの選手と滑れたことは良い経験で、終わってみると楽しかったです」