フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
15歳で初優勝し、23歳で連覇――。
浅田真央が守り抜いた女王の誇り。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2013/12/10 10:30
SPの得点は72.36点。優勝したスケートアメリカの得点には及ばなかったものの「今季のアクセルの中で一番よかった」と充実感をあらわにした。
女王の風格を感じさせたステップシークエンス。
今シーズンずっと勝ち続けてきた浅田真央が本領を発揮したのは、それからだった。3フリップ、2アクセル+3トウループと次々と着実に決めていき、中でもかつて苦手意識のあった3サルコウは、全ジャンプの中でも最もきれいに決まった。
後半のステップシークエンスは、彼女の見せ場である。ジュニアとシニアのスケーターの違いはここにあると言っても過言ではない。一つ一つの動きが伸びやかで大きく、スピードがありながら美しかった。壮大で豪華なラフマニノフは、子供には滑ることのできない音楽だ。アクセルのミスこそあったが、女王に相応しい貫禄に満ちた演技だった。
「アクセルの失敗は悔しいですけれど、ミスを引きずることなくカバーして残りを滑ることができたんじゃないかなと思います。今回は順位よりも、自分がやりたい演技のレベルを目指して滑りました」
「マオは憧れの選手」とリプニツカヤ。
この試合で浅田にどこまで迫るかと注目されていたロシアの15歳、ユリア・リプニツカヤはSP4位からフリーで総合2位まで追い上げてきた。だがそれでも、204.02を得た浅田とは10ポイント以上の差がついていた。
「マオは私から見ても世界でもっとも強い、憧れの選手。特にスケーティングが滑らかなところが素晴らしいと思う」
リプニツカヤは会見で、浅田をどう思うかと聞かれてそう答えた。
8年前にセンセーショナルなGPファイナルデビューを飾った15歳の浅田真央は、今度は堂々と女王としてその座を守り、最後のGPファイナルの戦いを終えた。