サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「サッカーやるなら勝ちたいでしょ?」
松井大輔が現代表に向けて語ること。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byNoriko Terano
posted2013/11/14 10:30
シーズン前のバルセロナとの親善試合では先制点をアシストするなど、グダニスクでもチームの中心として攻撃のタクトを振るっている。
「パスは繋げた」と喜んでいられるのは子どもだけ。
昨年秋の欧州遠征でブラジルと対戦した日本代表は0-4と大敗したが、「自分たちのサッカーをやり通せた」と手ごたえを感じたと発言する選手も多かった。確かにパスを繋ぎ、ブラジルのゴールへ迫るシーンも見られた。しかし、鋭いカウンター攻撃にやられて失点を重ねたのも事実だ。
そして、今夏のコンフェデレーションズカップでは3連敗。攻めながらも失点が続く戦況は先月の東欧遠征でも同様だった。「現実的な戦い方への転換を」という声も上がるなか、「守備的なサッカーをしても未来はない。このスタイルを貫くべきだ」と断言する選手もいる。
いろんな考え方をする選手がいて、いいと思う。何が正解で、何が間違いかはわからないからね。だけど、大事なのは未来どうこうじゃなくて、「W杯で勝ちたいのか、負けたいのか?」という、ただそれだけのこと。W杯はチャレンジの場所じゃなくて、勝負する場所なんだから。
確かにブラジルはすごいチームだよ。でも、ピッチに立った以上は対等でしょ。「結果は0-4だったけど、パスは繋げた。楽しかったな。良くやったよ」と言って喜んでいられるのは子どもだけでしょ。
俺たちはプロなんだから、勝つか負けるかのどちらかしかないんだから。
Aマッチがあれば、チームメイトに「日本はどうだった?」と聞かれる。日本が勝てば「すごいな」となるし、負ければ「やっぱりね」ということになる。内容じゃなくて結果しか気にしないんだ。
未来どうこうなんて、どうだっていい。
ブラジルに勝ちたいと思うのなら、そういう(勝つための)サッカーをしなくちゃいけない。
重要なのは勝つために何をするか。未来どうこうなんて、どうだっていい。その試合で勝ちたいのか? ってことでしょ。
チームに駒が揃っていないのに「バルセロナのサッカーをやろうぜ」と言ってもできないし、勝てないのは当然のこと。そして自分の持っている駒を見て、勝つためにどういうサッカーをするのかを決めるのは監督。選手はそれに従うしかないんだけど。
W杯を前にした今、勝てないのは別に問題じゃない。負けることで学ぶことも確かにあるから。そういう意味で準備期間の結果に一喜一憂する必要はないと思う。最後に何ができるかだから。