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柏の浦和対策が実ったナビスコ決勝。
J屈指の名将対決は、敬意とともに。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2013/11/06 10:30
多くの主力を欠きながら、遂に浦和に勝利した柏・ネルシーニョ監督。カップ戦巧者ぶりを見せ、3年連続のタイトルを獲得した。
守備の中でも、ダメージを与えることができる。
「浦和のようなチームでも“攻め疲れ”は出るし、しぶとく守って球際で負けない強さなど細かい局面で相手選手はダメージを食らっていくもので、私は守備をしながらでもそういったダメージを与える事もできると思っています」
ネルシーニョらしい思考法で選手たちに浦和対策を授け続け、それがようやく成就した90分間。その苦しみがあったからこそ、冒頭のミシャへの称賛があったのだろう。
その称賛を受けたミシャは自らのポリシーを貫いたが、'10年に広島を率いて国立に乗り込んだ時と同じく準優勝に終わった。
「私はこういう舞台で“勝てない監督”とレッテルを貼られてしまうのかもしれませんが……」と悔やんだように、またしても国内3冠タイトルは手に届かなかった。ただ、Jリーグ有数の勝負師であるネルシーニョの力をここまで引き出したのは、まぎれもなくミシャの貫いた信念が、簡単に破れるものではなかったからこそ。
2人のスタイルが真っ向からぶつかり合った決勝は、1-0のスコア以上に濃密なものだった。