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<あのアスリートタレントが激白!> 武井壮 「ゴルフは実は一番難しいスポーツだ」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/02/05 06:10
小技が得意なので「インチキ野郎」と呼ばれていた。
運動にはフォームと力の種類が大事で、僕はフォームを真似て作ることはできます。でも力の向きや種類は外からでは分からないんです。だから、いくら速くクラブを振れても、全部びゃあ~っとスライスしてましたね。そんなショットでバーディーを取っても全然達成感がないんですよ。ピッチャーなら逆球がいって抑えているだけの感覚で。ただ、アプローチとパターはうまいんです。ショットと違って思った通りの動きで球をコツンと打ち出すだけですから。周りのゴルファーからは「インチキ野郎」って呼ばれてました。ショットはびらびら曲がるのに全部バーディーかパーだと。なんなんだあいつのアプローチは。パターも入るし、気持ち悪いって警戒されてました。
留学中のある日。武井は森の中で巨大な鹿と出くわし、命の危険を感じて決意する。「ゴルフなんて後回しだ。まずはこいつにやられない方法を見つけないと」。当面の目標を百獣の王へと転換し、トレーニングのために日本に戻った。欽ちゃん球団に入ったり、プロゴルファーのトレーナーを務めたりと様々な活動を始めるのである。
塚田(好宣)プロのトレーナーをしていた時に「クラブを振るときに何やってるんですか」って聞いたんです。そしたら「何してるってこともないけど、動き出したらヘッドがびゅんっていっちゃうからさ」みたいなことを言われたんです。なるほど! と思って。びゅんっていっちゃうんだ。自分でいかしてるんじゃないんだって。見ていたらハーフウェーダウンぐらいから腕で引っ張る動きが一切ないんです。僕がやっていたのはまるで逆じゃないかと。そこからドライバーが曲がらなくなってきました。
夢はタイガーを2位に従えて、年間グランドスラム!?
正しいことが分かってきたら一気に楽しくなってきましたね。去年と今年はクラブを持つこともできないくらい忙しいのに、球を打たなくても上達してます。頭で考えてることが正しくなってくると、まあまあ思い描いた球が出るんです。それが楽しいから部屋にいるときも考える。そうするとまた身につく。
こないだもテレビでハーフを回ったんですけど、全ショットが今までで一番楽しいんですよ。だって打つたびに上手くいくんだから。すんごいショットが出たときも当たり前みたいな顔してますけど、内心では自分で驚いているんですよ。
将来的には海外ツアーの予選会を受けたいんです。いつか年間グランドスラムして、2位が全部タイガー・ウッズ。バカみたいだけど、そんな夢を見てます。タイガーはヤバすぎますよ、体とクラブとボールを扱うことがとんでもないレベルで調和してる。でも夢を見るのは自由だし、それをできると言ってやるのも自由。今までもある程度それができてたから、ゴルフにも希望がありますよ。まだ積み上げたものはゼロなんで、僕には伸びシロしかない。だから今はゴルフが超楽しいです。