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<W杯予選、土壇場での涙> 世界の“悲劇集” ~フランス/オーストラリア/中国/カメルーン~
text by
粕川哲男Tetsuo Kasukawa
photograph byKoji Asakura
posted2013/10/28 06:00
“決めれば出場”のPKを得たカメルーンだったが……。
さらにアフリカでは5大会連続6度目の予選突破を目指したカメルーンが、最終戦で“まさかの結末”に遭遇した。'05年10月8日、首都ヤウンデで最終のエジプト戦に臨んだカメルーンは、この試合に勝てば、勝点1差で2位につけるコートジボワールの結果に関係なく出場を決められた。20分にドゥアラが先制に成功。しかし、79分に追いつかれる。引き分けのままではコートジボワールに出場権を奪われてしまう。絶対に勝利が必要だった。
時計の針が進み、焦りが募るなかロスタイムにビッグチャンスが訪れる。オレンベがペナルティエリア内で倒され、PKが与えられたのだ。決めれば予選突破。勝利を信じて疑わないスタジアムは歓喜に包まれた。ところが、ウォメの一撃はポストを直撃。直後に試合終了のホイッスルが鳴り、W杯出場は露と消えてしまった。
サッカーに悲劇はつきものだ。ほんのワンプレーだけ耐えればつかめたW杯初出場が零れ落ちてしまった、“ドーハの悲劇”はなかでも劇的な一戦なのかもしれない。
※Number839号掲載本文において、ジノラの引退時期に関して一部事実誤認があり、
該当箇所を削除いたしました。