「完璧な人間はいない」と水に流したガララーガの男気。

　だが、ガララーガ自身は抗議しなかった。不思議なことに、彼は微笑さえ浮かべていた。ガララーガは28人目の打者トレヴァー・クロウを討ち取り、試合を終わらせた。

　試合終了直後、ビデオ室に駆け込んだジョイスは、ただちに自身の非を認めた。翌日、彼は涙を流しながらガララーガに謝罪した。

　気にしないで、とガララーガはいったそうだ。映画（『お熱いのがお好き』）の有名な台詞を借りて「完璧な人間はいない」とも彼は発言していた。男気を感じさせる態度だ。ガララーガは見栄を張ったのではない。きっと彼は、心底そう思ったのだ。

　2010年、ガララーガは4勝9敗の成績に終わった。防御率も4.49という平凡な数字だ。だが、彼の態度は見事だった。ブリーズの陰にもうひとり晴れやかなスポーツマンがいたことを、私は覚えておきたい。