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KOを「狙える」左拳、
山中慎介が迎えた充実期。
~照準はバンタム級統一王者~
text by
前田衷Makoto Maeda
photograph byBOXING BEAT
posted2013/09/02 06:01
長男・豪祐くんを抱きつつ歓声に応える山中。笑顔も少なく、すでに次戦を見据えていた。
「ノックアウトは狙うな」とよくいう。ダウンを奪ったボクサーが大振りになってミスを繰り返し、トドメを刺し損ねる試合がリングの上では繰り返されている。「狙うな」とは相手を倒そうと意識しすぎて自分のボクシングを見失わないようにとの、戒めのようなものだ。“ノックアウト・ダイナマイト”の異名を持つ内山高志は、いつも「KOは狙いませんが、結果としてそうなればいい」と言いながらKOを重ねている。
だが、いま最も輝いているもう1人のKOキング・山中慎介は、狙ってKOを奪える稀有なパンチャーだ。8月12日のWBC世界バンタム級王座4度目の防衛戦でも、試合前から「KOを狙う」と公言。実際、プエルトリコからやってきたホセ・ニエベスをわずか160秒でKOしてみせた。