菊池雄星の名言
悔しいと思うことはあるけど、悔しさだけであんなに泣いたりはしない。
菊池雄星(高校野球)
2013/09/03
花巻東時代の菊池は、毎日のように野球日誌に「日本一」という言葉を6回も書きつけていた。「1回戦から登場するチームは甲子園で6回勝たなければ日本一になれない。だから、1勝、2勝、3勝……っていう意味で6回書いてました」。それだけ日本一への思いは強かったわけだが、2009年の夏の大会では準々決勝で痛みを訴えて途中降板。当初は筋肉の異常という診断だったが、のちに精密検査をしたところ肋骨を疲労骨折していたことが判明する。準決勝の中京大中京戦では、0-3でリードされていた4回裏、2死満塁の場面でリリーフで登板。だが、「いちばん自信のある真っ直ぐ」をとらえられ三塁打を打たれた。次の回、ホームランを浴びてマウンドを降りた菊池が投げたのは、わずか11球。結局、花巻東は1-11の大差で敗れ、試合後、菊池は大声をあげて涙を流した。「悔しさではなかった。もうこのメンバーとはできないんだな、っていうさみしさとか、達成感とか。いろいろなものが混じり合って放心状態になっていた。ああいう涙はもう流せないのかなって思う」。純粋無垢な若者だけが流せる涙というものがあるのだろう。
Number834号(2013/08/08)