野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
DeNA3万人、ももクロ6万人。
週末の横浜で交錯した2つの星。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/08/14 08:01
8月4日の敗戦後、ファンがスタンドでサイリウムを振るセレモニーをベンチから見つめるDeNAナイン。
DeNA初、YOKOHAMAと書かれたユニフォーム。
終盤戦。日産は『怪盗、労働、走れ!』、『ももクロのニッポン万歳!』。アンコールで『灰とダイヤモンド』、ゲストに来た猫ひろしフルマラソンを完走。『コノウタ』と来て、エンディングは『黒い週末』。4時間半におよぶライブは大盛況のまま幕を閉じ、夏の一大イベント日産ライブを終えた。
ハマスタ。怪盗梶谷、労働、走れ。モーガン・ブランコニッポン万歳。敗戦濃厚の展開にスタンドのアルコール依存率が上がる中、大田コバ寛ソーサ換装は成功。最終回には多村の一撃で追い詰めるも、この反撃中日に届かないでエンディング。4時間弱に及ぶ壮絶な打ち合いは、STARNIGHT3連敗、通算5連敗で終了の黒い週末、カモン・ライディーン!
そんな鬱憤晴らしの与太話はともかく。
今回、横浜スタジアムでのイベント「STARNIGHT」には、こんなコンセプトがあった。
「一人ひとりが星のように輝いて チームも、街も、元気になる
そんな場所をみんなで創りたい チームがみんなの『星』になるように
横浜がもっともっと『輝く』街になるように ここから未来のスターが生まれるように……」
無料で配布されたユニフォームはDeNAになって、はじめて胸に「YOKOHAMA」の文字を入れたものだそうだ。それもベイスターズが横浜の町を共に盛り上げようという思い故、である。
挨拶に現れた監督選手にサイリウムが投げ込まれた。
それなのに、全敗はキツイ。球団が赤字覚悟でユニフォームを配布して、ハマスタ史上最多の入場者数まで記録して、これだけ大掛かりなイベントをやることをわかっていながら、何故1試合も勝てないのか。ハマスタを満員にしてください。応援してください。そんな言葉は何だったのかと、考えれば考えるほど情けなくなる。
試合終了後。このSTARNIGHTの3連戦ラストを飾るイベントが行われた。その時間は試合以上に苦しかった。
照明が落とされ、スタンド全体がサイリウムで真っ青に染まると、ゆずの栄光の架橋と共に前半戦を振り返るベンチ裏映像が流れ、最後に「みんなでひとつになってCSへ行こう」というメッセージで締められる。これがまたいい作りだったのだが、5連敗直後の重すぎる空気は変えることはできず、監督選手らが挨拶にグラウンドに出てくると、スタンドのファンからはサイリウムが次から次へと流れ星のようにグラウンドへと投げ込まれた。
その投棄は、選手、監督、コーチへの抗議なのか。それとも何の考えもなく右へ倣えで投げたのかはわからない。聞いたところによると、スタンドのあちこちでファン同士が争っていたそうだ。それはもう、試合に負けた以上に惨めな出来事になってしまったと言っていい。