セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ミラン次期トップは会長の娘か?
男勝りな“カルチョの女たち”の野心。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/08/12 10:30
「ミランを総合エンターテイメント・カンパニーにしたい」というバルバラ。現在はクラブの取締役として帝王学を学んでいる。
イタリアでは男女よりも血統主義が重んじられる。
セリエAで辣腕を振るった女性会長といえば、アメリカ資本へ買収されるまでローマ会長職にあったロセッラ・センシ女史がいた。男勝りだった彼女も父フランコから会長職を受け継いだが、思うような成績を上げられず、末期にはサポーターから相当批判を受けた。トップに立っても、人生バラ色とは限らない。
折しもミランの商売敵インテルも、トップ交代の岐路に立っている。インドネシアからの巨額オファーに、マッシモ・モラッティ会長は譲渡へ傾きつつある。1995年にオーナーへ就任したマッシモ自身、1955~68年に会長だった父アンジェロの遺志を継ぎ、親子2代にわたって欧州制覇を成し遂げた究極のロマンチストだ。「クラブの歴史や伝統を大事にしてくれる人物にのみ譲りたい」というのは彼の本音だろう。イタリアでは男女の区別なく血統主義は重んじられる。
親から子へ連綿と続く世襲は、他の欧州列強クラブの経営スタイルでは考えにくいし、前世紀の遺物にも思えるかもしれない。だからこそ、名門ミランの新会長に、ベルルスコーニの名を継ぐ形でバルバラが就任すれば、欧州サッカー界全体に、小さくない一石を投じることは間違いないだろう。