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優勝候補から消えていくバイエルン!?
マリオ・ゴメスは救世主になれるか。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2010/11/09 10:30
ヨーロッパの舞台のほうが、簡単なのだろうか。
バイエルンは11月3日に行なわれたルーマニアのCFRクルージュとのアウェイゲームで、4対0と快勝を収めた。チャンピオンズリーグで開幕から4連勝を飾ったのは、クラブ史上初めての快挙だ。おかげで、早々とグループリーグ突破を決めた。チャンピオンズリーグの舞台では、順調そのもの。昨季の準優勝チームらしい戦いを見せている。
ところが、ブンデスリーガに舞台を移すと状況は大きく異なる。第10節を終えて4勝3分3敗で勝ち点はわずか15だ。昨季の同時期と比べても3ポイント少なく、首位のドルトムントとは10点も離されてしまった。今季もバイエルンの第一の目標は「ブンデスリーガでの優勝」なのだが、何やら雲行きが怪しくなってきた。
ヘーネス会長とファンハール監督の舌戦が勃発。
そんな中で飛び出したのが、ウリ・ヘーネス会長の発言だった。CS放送“SKY”の討論番組に出演したヘーネス会長は、リーグ戦で思うような成績を残せていないことに我慢がならなかったようだ。フライブルクを4対2で下した2日後、公然とファンハール監督の批判を始めたのだ。
「(フライブルク戦の)後半で最も良いプレーをしていたのはティモシュクだった。(ファンハールはティモシュクをあまり評価していないため)ファンハールはこのクラブにいる4、5人の選手に対して正しい評価を下せていないんだ! そもそもファンハールとは、そのような話をすることは難しい。彼は他人の意見に耳を傾けないタイプの人間であるからね。現代のフットボールクラブにおいて、“ワンマンショー”は必要ない」
バイエルンの会長が監督を批判したというニュースは、この日からドイツ中で話題を集めることになった。当然、そのニュースはファンハールの耳にも入ることになり、記者たちはオランダ人指揮官のリアクションに期待した。ファンハールも慎重に言葉を選びながら、反論した。
「会長が私のことをあんな風に言うなんて、失望した。コミュニケーションをとるのは私の得意な分野だと考えていたのだが……」
こうして、二人のやり取りは泥仕合の様相を呈し始める。