野球クロスロードBACK NUMBER
「結果」よりも「過程」で魅せる!
ロッテを苦しめる中日・井端の“眼”。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNaoya Sanuki
posted2010/11/02 12:00
徹底的に「狙い球」にこだわりロッテ投手陣を苦しめる。
初戦はまったく得点に絡むことができなかったが、3打席でロッテ投手陣に23球も投げさせている。2戦目には5打席で21球。
2試合合計で44球は、両チームの主要打者のなかで最も多い数である。
単に球数を稼ごうとするだけではこの数字は生まれない。
これを実現させたのは井端の真骨頂である、「狙い球が来るまでファウルでカットする」というしぶとさがあるからだ。
特に、第2戦の2打席目が印象深かった。
カウント1-1で一塁走者の荒木雅博が盗塁に成功し無死二塁。この場面、野球のセオリーならば、最低でもセカンドゴロで荒木を三塁へ進ませなければならない。しかし、1-2とバッティングカウントとしながら井端には打ち気が感じられない。確実に右方向へのゴロが打てるボールが来なかったからだ。
2戦無安打の井端が落合監督に信頼される理由。
両リーグワーストの84与四球のロッテ先発・マーフィーとはいえ、井端は簡単にボールを選ばない。外角はもちろんのこと、内角低めの厳しいコースでも打てる球が来るまで平然と右方向へファウルを放つ。4、5球目、7球目から10球目と、実に6球も粘り、11球目に四球を選んだ。
この打席での1球1球がマーフィーへのボディブローとなったことは言うまでもない。動揺した相手を後続が攻め一挙3点。初回と合わせて7得点と、序盤で試合を決めた。
現在、2試合ともに先発したメンバーの中で無安打なのは井端だけだ。確かに他を納得させるだけの結果は残せていない。ただ、第2戦終了後の落合監督のコメントを解釈すれば、彼への信頼とも受け取れなくもない。
「野球選手は結果を求められるけど、それに潰されてはグラウンドで(本来のパフォーマンスを)表現できない」
結果は求めたからといって簡単に得られるものではない。出塁を結果だとすれば、それができなければどうすればいいか?
チームを勝利に導く「過程」を作ればいいのだ。