スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
オールスターとサプライズ。
~遅咲き選手に注目したいMLB球宴~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2013/06/29 08:02
今季一気にブレイクしたカーペンター。カーディナルス快進撃の立役者の一人だ。
遅咲きの上昇株はオールスター出場で一気にブレイク。
最大のサプライズは、現在3番手のカーペンターだろう。こちらは1985年11月生まれの27歳だが、典型的な遅咲きの上昇株だ。極端にいうなら、今季開幕前、この選手をマークした野球評論家はひとりもいなかったのではないか。デビューは2011年と遅く(それも7試合しか出られなかった)、今年の5月に二塁の定位置を獲得するまでは、平均して年間5つ~6つのポジションをこなす便利屋的な存在だった。打撃成績も、2年通算で311打数88安打だったのが、今季は半年弱で292打数93安打。打率はナ・リーグ7位だし、57得点はリーグ2位の好成績だ。
こう書けばおわかりだろうが、私が期待しているのはカーペンターのオールスター出場である。スクータロにもなんとか出てもらいたいものだが、カーペンターの世代には、彼以外にも遅咲きの有望株が少なくない。
オリオールズの一塁手クリス・デイヴィス(27歳)、アスレティックスの三塁手ジョシュ・ドナルドソン(27歳)、ダイヤモンドバックスの一塁手ポール・ゴールドシュミット(25歳)、ブルワーズの外野手カルロス・ゴメス(27歳)といった選手たちだ。メジャーでの彼らのキャリアは、大体3年から5年。デイヴィスあたりはすでに実力の片鱗を覗かせているが、こうした地味な選手は、オールスターに出ることで一気にブレイクし、全国区の人気を獲得する可能性がある。
ドミニカの新星、セグーラの溌剌としたプレーを見たい。
そうそう、言い忘れるところだった。カーペンターやデイヴィスよりもさらに若いが、ぜひともオールスターに出てもらいたい選手がもうひとりいる。ナ・リーグ遊撃手の人気投票で3位につけているブルワーズのジーン・セグーラ(23歳)だ。ドミニカ出身のこの新星は、攻守ともに溌剌としている。投票1位のトロイ・トゥロウィツキーは、たぶん故障で出場を辞退するだろうから、セグーラには監督推薦で先発メンバーに名を連ねるチャンスがある。メッツのマット・ハーヴィが好投し、ナショナルズのブライス・ハーパー(怪我が治れば、だが)やセグーラのような若手が攻守で活躍すれば、今年のオールスターはずいぶんフレッシュな印象を与えるにちがいない。