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「紙一重」で地獄に落ちたヤクルトが、
高田前監督の予言通りに復活する日。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byTamon Matsuzono

posted2010/08/23 13:00

「紙一重」で地獄に落ちたヤクルトが、高田前監督の予言通りに復活する日。<Number Web> photograph by Tamon Matsuzono

12球団ナンバーワンの安定感を誇るヤクルトの投手陣。

「悪循環の紙一重」を好転させる第一歩は、小川淳司を監督代行に据えたことだった。

 代行は、「野村ID野球」の腹心だった伊勢孝夫を巡回打撃コーチとして招聘。不振のガイエルとデントナをファームに落とし、新外国人のホワイトセルに飯原誉士、畠山和洋を起用。代役で中軸を形成し、これが見事にはまった。

 そして投手陣は、今や12球団でナンバーワンの安定感を誇るほどになっているのだ。

 松岡健一、林昌勇ら中継ぎ・抑えは言うまでもないが、なにより先発陣がしっかりとゲームを作っている。チーム防御率3.81はリーグ2位。セ・リーグで9人しかいない規定投球回数に達している投手のうち3人(石川雅規、村中恭兵、由規)がヤクルトでリーグ最多、7勝以上を挙げている投手がその3人の他に2人(館山昌平、中澤雅人)もいるのである。

 開幕から6連敗を喫していた低迷期が嘘だったように快投を続け、現在9勝をマークしているのがエースの石川だ。先発投手陣の安定感について、エースの言葉を借りるとこういうことらしい。

「今は打線が必ず点を取ってくれるから、負けていても我慢して1球、1球大事に投げることができる」

 最近では、他の先発投手も同様のコメントを残すことが多い。これも、5月の「紙一重」の悪い流れからの大きな変化だと言える。

2年前のオリックスのように首位争いをかき回す存在に!

 不振の責任をとって監督が替わり、代役が見事な結果を残し、安定感のある投手陣で調子がガラリと変わる。ヤクルトのようなチームが2年前にもあった。オリックスだ。

 5月末に大石大二郎がコリンズからバトンを引き継ぎ監督代行となると、山本省吾、近藤一樹らの踏ん張りもあり手薄だった先発投手陣が安定し、打線も後藤光尊の離脱中に一輝が活躍するなど代役が見事な活躍を見せた。結果、シーズン2位の好成績を残す。

 そのオリックスも、8月20日時点で4位だった。

 ヤクルトの強さは、もはや「紙一重」で得ているものではない。高田の辞任以降、紙のような努力は積み重ねられ、その厚みはついに分厚い一枚岩へと昇華した。巨人、阪神、中日を苛立たせる「上位いじめ」が何よりの証拠だ。

 シーズンも残り約30試合。「セ・リーグは3強3弱」と呼ばせぬためにも、ヤクルトにはとことん3強をいじめてほしいものだ。

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