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<韓国人Jリーガーの想い> 若き3人のコリアンはなぜ“イルボン”を選んだのか。~金民友、呉宰碩、チョ永哲~ 

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慎武宏

慎武宏Mukoeng Shin

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photograph byYoshiko Kojima

posted2013/06/06 06:00

<韓国人Jリーガーの想い> 若き3人のコリアンはなぜ“イルボン”を選んだのか。~金民友、呉宰碩、チョ永哲~<Number Web> photograph by Yoshiko Kojima

新たな可能性を示した朴智星のステップアップ。

 そして、第3世代の朴智星(パク・チソン)が新たな可能性を示す。'99年9月の日韓五輪代表親善試合での大敗に衝撃を受け、「韓国と日本のサッカーの違いを体験したかった」と、明知(ミョンチ)大学を休学して'00年に京都サンガ入りした彼は、Jリーグで成長してPSV、マンチェスター・ユナイテッドへとステップアップ。朴智星の前例に続けとJクラブによる若手韓国人の青田買いにも拍車がかかった。

 また、外国籍選手枠(3名)以外にアジアサッカー連盟加盟国の国籍を有する選手1名の登録が可能となった「アジア枠」が導入された'09年以降は、代表経験はおろかプロ経験もない選手が大挙来日するようになった。若くて実績のない第4世代の登場である。

 今季はJ1・24名、J2・37名の計61名が日本でプレーする。その数は今やブラジル人を上回る。彼ら韓国人Jリーガーは、何を求めて来日し、日本をどう見ているのか。

「クラブやファン、メディアから尊重されている」と金民友は語る。

金民友 KIM Min Woo
1990年2月25日、韓国・慶尚南道生まれ。'09年U-20W杯で韓国の8強進出に貢献。同年11月、PSVの入団テストを受けるも不合格。'10年1月に鳥栖加入。入団初年度から10番を背負い、昨季は昇格1年目にして5位と躍進したチームの原動力に。172cm、69kg

「韓国の若手が日本に来る理由? Jリーグは観客が多いし、練習環境やリーグのシステムも整備されていて、何より選手がクラブやファン、メディアから尊重されているイメージがある。それが魅力的に映るからだと思う」

 そう語るのは、サガン鳥栖の金民友(キム・ミヌ)だ。'10年の来日当初は韓国とは真逆の左側通行に戸惑ったが、今では愛車のホンダ小型車を自在に乗り回す。人口約7万人の地方都市・鳥栖での生活も4年目を迎えて、「ここではサッカーに専念できる」と言う。

「もっとも、10代の頃は自分が日本に来るなんて思ってもいませんでした。'09年のU-20W杯でベスト8に進出したあと、オランダでPSVの入団テストを受けたのですが、落ちた上に大学に無断だったため退学になってしまって。Kリーグにも行けず、将来に不安を抱いていたときに声をかけてくれたのが鳥栖でした。鳥栖に入っていなかったら、今も無所属だったかもしれない。そう思うと、鳥栖は僕にとって第2の故郷なんです」

 しかし、1年目はもがき苦しんだ。言葉が通じず、知り合いはひとりもいない。ピッチでも結果を残せず、その焦りとストレスから甲状腺機能亢進症を患った。ホルモンバランスが崩れ、動悸や息切れが激しくなる疾患だ。韓国で“小さな巨人”と呼ばれた逸材も、異国での孤独とプロの厳しさに初めて直面した。

【次ページ】 Jでプレー経験がある尹晶煥監督の厳しくも暖かい助言。

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