野ボール横丁BACK NUMBER
智弁を破った成田の右腕・中川諒。
“唐川二世”は魔法で変身する!
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2010/08/09 12:45
完成された芸術作品の唐川と、まだ荒削りな中川。
唐川が完成された芸術作品を連想させたのに対し、中川はまだ荒削りを施しただけの彫刻を思わせる。
だが逆に言えば、そこが中川の最大の魅力でもある。高嶋が「フロック」だと見誤ったもの。それは中川の、この夏の成長だったのだ。洗練と言い換えてもいい。
どちらかというと口数の少ない中川は、試合前、照れくさそうに、今にも消え入りそうな声で記者の質問に答えていた。
だが試合後は、好投の後だから当然といえばそうだが、表情は自信に満ちあふれ、声も野太くなっていた。
高校生にとって自信は、ある意味、少年を大人に変える魔法である。甲子園で1試合勝つごとに見せる成長は、まるで数カ月ごとの成長を見ているかのように劇的だ。ましてや、中川は全国優勝3回を誇る豪打の智弁和歌山を倒したのだ。その効果たるや推して知るべし。
中川は初戦としては、これ以上ないスタートを切った。だが、まだまだ中川は伸びる。
成田の次戦は、7日目第4試合。相手は八戸工大一だ。
まずは試合前の中川の表情、声質に注目したいと思っている。