海外サッカーPRESSBACK NUMBER
豪州年間王者は逃したものの――。
33歳・小野伸二が過ごす充実の時。
text by
蘇芳あかねAkane Suo
photograph byAkane Suo
posted2013/04/22 13:10
今季は26試合に出場し8得点をあげ、来季もワンダラーズでプレーすることを決めた小野。「恩返しじゃないけど、また一緒に2年目の苦しさを戦いたいと思っているんで」とコメントしていた。
ワンダラーズのボールを支配し続けた小野だったが……。
小野伸二はこの試合でも献身的な運動量で休まず走り続け、ボールを支配し続けた。
自らシュートも放ち、90分間攻守にわたって常にチームの中心でプレーした小野だったが、少ないチャンスをものにできなかったことが最終的にチームの敗因となった。
試合後半は2点を追う展開だったワンダラーズだが、累積警告で主要メンバーを欠いていたことが徐々に影を落とし始め、敵を追う勢いどころか守りの時間帯が増えていき、そのまま試合終了の笛を聞くこととなった。
それでも表彰式で優勝・準優勝の所属メンバー全員の名前を呼ばれたとき、もっとも声援が多かったのは、やはり小野伸二だった。
「気がついたら1シーズンずっと試合に出続けることができた」
試合後、ミックスゾーンで2012-2013シーズンを終えた彼に、来季もワンダラーズでプレーすることに決めた理由をたずねると、こう答えてくれた。
「今年、初めて作られたチームだったから、僕もベテラン扱いされるってこともなくて、自由にサッカーをやらせてもらった1年間で、ほんとうに感謝してる。大きなケガもなくて、気がついたら1シーズンずっと試合に出続けることができた。続けることで、自分自身、力をつけさせてもらったことが財産になると思う。
スタッフも含めて、全員がチームのため、監督のために、我慢強く1試合1試合積み上げて。リーグ優勝できたのはほんとうにうれしかったし、自分にチャンスを与えてくれたチームに恩返ししたい気持ちもあるのかな。
Aリーグは、総じてみるとフィジカルを要するイングランド的なリーグなのかもしれないけど、Jリーグに似てるところもあったり、チームによってぜんぜん違う。アウェイだと飛行機で4時間かかるくらい広い国のリーグだからね。
僕らのチームがACLで勝っていくためには、今日みたいな苦しい試合でも勝ちに持っていけないとダメだって、自分はわかってるから。真価が問われる2年目の苦しいシーズンを、またこのチームのみんなと戦うことができたら、また歴史を作れると思うからね」