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「二刀流」ではなく野手一本で――。
雄平は不振のヤクルトを救えるか? 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNanae Suzuki

posted2013/04/17 12:15

「二刀流」ではなく野手一本で――。雄平は不振のヤクルトを救えるか?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

3月31日、プロ初登板の阪神・藤浪からホームランを放った雄平(右)。投手時代の2005年以来のプロ2号、2010年の打者転向後、初のアーチとなった。

「走攻守、全てにおいてレベルアップをしていかないと」

 雄平は言う。

「まだ、バッターとして固まったと感じられる部分はないですからね。そういったものを早く見つけられるように、これからもしっかりとやっていかないといけないので」

 打者としては形成段階と本人は語るものの、その成長の跡は確実に見られつつある。

 例えば、外角のボールへの対応。以前は、ちょこんとバットを出して当てにいくようなスイングも少なくなかったが、最近ではしっかりと振り切れるようになっている。

 ボールを見極めた上で、思い切りよくバットを振る――。その姿勢で強烈なインパクトを与えたのが、開幕3戦目の阪神戦だった。

 7番ライトでスタメン出場を果たした雄平は6回、この試合がプロ初登板となるゴールデンルーキー・藤浪晋太郎の真ん中に甘く入ったフォークを強振し、ライトスタンドに叩き込んだ。

 そうかと思えば巧みなバットさばきも披露する。

 12日の巨人戦では、6回にホールトンの外角低めのスライダーをすくい上げ、今季2号目となる本塁打を放った。

 それでも雄平は、「まだまだ」と繰り返し、謙遜する。

「課題が多いですから。走攻守、全てにおいてレベルアップをしていかないとダメなんで。レギュラーとしてチームに認めてもらえるように、練習から頑張るだけです」

ダルビッシュ有の「高校時代の先輩」としてだけでなく……。

 雄平が言う課題とは、打撃に限ったことではない。

 同じく12日の巨人戦。逆転弾を放った直後の6回裏、センターを守る雄平がライナーの目測を誤り二塁打にしてしまったことで、チームはこの回に5点を失い、試合を落とした。

「打球が伸びたことは言い訳にはなりません。もっと練習してチームの信頼を取り戻したい」と、雄平は自分を戒める。レギュラー獲りに真っ直ぐな心意気を見せるからこそ、一つひとつのプレーを大事にしなければならないと彼は言う。

 16日の中日戦に勝利したことで7勝9敗の4位と最下位を脱出し、チーム打率も2割1厘とわずかながら上昇した。

 故障者が相次ぎ低迷している。それが、今のヤクルト。苦しい現実から脱却し浮上するためにはチームの底上げが不可欠であるし、そこには当然、起爆剤となる選手の存在が求められてくる。

 野手として生まれ変わり、花開こうとしている雄平こそ、それにふさわしい。

 かつて、ダルビッシュ有の「高校時代の先輩」としてだけクローズアップされていた男が、ヤクルトの主力として独り立ちし、注目を浴びる……。

 そんな姿を早く見たいものだ。

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