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カタールは本当に不正を行ったのか?
'22W杯招致をめぐる仏メディアの告発。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2013/02/24 08:01
2010年12月2日、2022年W杯開催地をめぐる投票が行われ、カタールに決定。写真は、自国での開催決定を喜ぶカタールのハマド首長(左)とブラッターFIFA会長。
1月29日発売のフランス・フットボール誌(以下FF)は衝撃的だった。
“カタールゲート”のタイトルで、タブロイド判15ページにわたる特集が組まれ、2022年ワールドカップ開催がカタールに決まった際におこなわれたとされる不正について、様々な事実・証言を引き合いに出しながら告発していたからだ。
これは、後に触れる英サンデータイムズ紙による2010年の報道を除けば、カタールW杯招致スキャンダルをめぐるほぼ唯一かつ最大の告発と言ってよいものだ。
FIFAバロンドール表彰式からわずか3週間後の特集号発売。FFは、バロンドールを共催するFIFAとは蜜月関係にあったのではなかったか?
だがそのペン先は、ジョゼフ・ブラッターFIFA会長は言うに及ばず、FFの歴代編集長たちと長年にわたり親密であったミッシェル・プラティニUEFA会長にまで向けられていた。FFは本気であった。実際、執筆を担当した記者たちは、その情報を昨年10月の段階から掴んでいたという。
FIFA自身も、元アメリカの連邦検事に全権を委任し徹底調査。
他方、FIFAもまた本気であった。
今回の報道以前から、カタールが選挙活動をおこなう過程において、不正がおこなわれたか否かを徹底的に調べあげようとしていたのだ。
去年7月17日、FIFAはマイケル・J・ガルシアを倫理委員会の調査局長(president de la chamble d'instruction)に任命した。
アメリカの連邦検事として金融犯罪と国際テロを主に担当し、インターポールのアメリカ地区副局長も務めたガルシアは、FIFA理事会(とブラッター)から、調査における全権と独立権を認められると、「調査には一切の妥協をしない」と断言。元CIAとFBIのエキスパートたちを右腕にしてすぐに活動を開始した。
すでに2011年FIFA会長選挙の際の、モハメド・ビン・ハマムAFC会長(FIFA理事、ともに当時)の不正に関しては証拠調べを終え、現在はカタールの疑惑を、全力を挙げ捜査している。
そんな最中、FFの報道に対し、プラティニは訴訟も辞さずとのコミュニケを即座に発表したが、一方FIFAは2月21日現在、沈黙を守りつづけている。
カタールは、本当に不正をおこなっていたのか?
ここでは、FFが伝えるカタールゲートの概要とその反響・余波、さらにはFIFAとFF編集部の本当の狙い・背景などについて、2回にわたってお伝えしたい。
1回目の今回は、FFが具体的に何を報道したかを紹介する。