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渋いメンバーと小粒の大会。
~WBC各国代表の陣容に思う~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byREUTERS/AFLO
posted2013/01/28 10:30
世界一の野球大会であることは間違いないのだが……(写真は前回のアメリカ代表)。
ドリームチームと呼ぶにはほど遠いアメリカの陣容。
ドミニカよりは充実しているが、アメリカもドリームチームにはほど遠かった。
もちろん、外野は恥ずかしくない。
ライアン・ブラウン(ブルワーズ)、アダム・ジョーンズ(オリオールズ)、ジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)の並びは、当初予想されていたマイク・トラウト(エンジェルス)、オースティン・ジャクソン(タイガース)、ブライス・ハーパー(ナショナルズ)のトリオにひけを取らない。いや、破壊力ならむしろこちらのほうが上といってもよいくらいだ。
だが、内野はちょっと弱い。
マーク・テシェイラ(ヤンキース)、ブランドン・フィリップス(レッズ)、デヴィッド・ライト(メッツ)、ジミー・ロリンズ(フィリーズ)。低い水準ではないが、ここはやはり、トロイ・トゥロウイツキー(ロッキーズ)、エヴァン・ロンゴリア(レイズ)、プリンス・フィルダー(タイガース)の名前が欲しいところだ。さらにいうなら、捕手がジョー・マウアー(ツインズ)ひとりというのも心細い。バスター・ポージー(ジャイアンツ)が無理だったら、せめてマット・ウィータース(オリオールズ)を加えることはできなかったか。
アメリカ投手陣の期待は新進気鋭メドレンの快刀乱麻。
もっと不安なのは投手陣だ。
R・A・ディッキー(ブルージェイズ)、ライアン・ヴォーゲルソン(ジャイアンツ)、クリス・メドレン(ブレーヴス)、クレイグ・キンブレル(ブレーヴス)、グレン・パーキンス(ツインズ)というのはなかなか渋い顔ぶれだが、絶対的エースというべき存在が見当たらない。
ジェレッド・ウィーヴァー(エンジェルス)、マット・ケイン(ジャイアンツ)、クレイトン・カーショー(ドジャース)、デヴィッド・プライス(レイズ)のうち、だれかひとりでも加わっていたら、と思うのは望蜀の嘆だろうか。ただ、タイガースの大看板ジャスティン・ヴァーランダーは、メンバーに加わる可能性が残されている(最終締切は2月20日)。私個人としては新鋭メドレン(2012年は10勝1敗、防御率=1.57。7月後半以降は9勝0敗、防御率=0.97)が世界をあっといわせることを楽しみにしているのだが。