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卓球王国ニッポンの未来が見えた!?
全日本選手権で輝いた次世代選手達。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byHitoshi Mochizuki/AFLO
posted2013/01/25 10:30
全日本選手権、男子シングルス決勝で水谷隼を下し日本一となった丹羽孝希。優勝コメントの「この優勝だけで水谷さんを超えたとは思っていません。この1年が大事」も、いたってクール!
卓球の全日本選手権は、ここ数年、ニュースでも大きく取り上げられるようになってきた。
今年は女子で、手術明けで復帰した福原愛が石川佳純を下して2連覇、男子では高校生の丹羽孝希が、ラケットの補助剤問題に抗議する形で大会から遠ざかっていた水谷隼を下して初優勝を飾った。
福原の連覇は正直、厳しいと思っていた。オリンピックで銀メダルを獲得した当日、母の千代さんは、
「すぐに手術すると思います。ずっと、痛いのに頑張ってきたみたいだから」
と話していて、オリンピックが終わってすぐ、8月に手術すると、練習再開まで3カ月近くを要した。ケガ明けで全日本を連覇できるほど甘くはないと思っていたのだが、裏を返せば、それほど福原が充実しているといえる。
世界選手権は5月にパリで開催され、今年は個人戦の順番である(卓球の世界選手権は、団体戦と個人戦が毎年交互に開催される)。中国勢の壁が厚いのだが、準々決勝以上に進めるかがひとつのポイントになってくるだろう。
いつの日か「打倒・中国」を本気で実現するために!
さて、今回の全日本で気になったのはジュニア世代の選手の活躍である。ロンドン・オリンピックで日本がメダルを獲得できた大きな要因として、ジュニア世代で実績を残した石川が大活躍したことがあげられる。
ジュニアの充実なくして、メダルなし。
ジュニアで中国を倒してこそ、将来的な展望も開ける。
実は2010年の世界ジュニア選手権の団体決勝で、日本の女子は初めて中国を破って優勝した。その中心が石川であり、ジュニアの同世代に勝っていくことが最終的には日本が世界でトップに立つための道しるべになる。
昨年12月、インドで行なわれた世界ジュニアでは男女ともに日本対中国の決勝となり、男子は1対3、女子はストレート負けを喫してしまったが、決勝に進んで中国と対戦することが非常に重要な経験となっていく。では、世界ジュニアの代表選手が全日本でどんな結果を残したか見ていこう。